回転寿司の賞品は
高校時代に書いたものです。
何を思って書いたのか分かりません。
ただのネタ作品です。寿司だけに。
「いらっしゃいませ」
やって来ました回転寿司。久しぶりです。かなり嬉しいです。
「何名様ですか?」
「えっと、一人です」
「それではカウンター席になりますがよろしいですか?」
「はい」
うんうん。とりあえず座れてよかった。さてさっそく食べるか。まずは、マグロだな。
「お待たせしました、タイムサービスでーす!」
なんだなんだ?
「お待たせしました、回転スピード上がりまーす!」
「へい回転スピードいっちょう!」
回転? え、うわ、マグロ行っちゃったよ。って、これ早過ぎない? 取れないんだけど。
「お客様にお知らせします。ただいまタイムサービスで御座います。速く回るお皿の中に一つだけ当たりが御座います。当たりの皿の上にあるお寿司一貫をお召し上がりになったお客様には、豪華な賞品をお送りさせていただきます!」
賞品? そんなのどうでもいいから普通に回してくれよ。これじゃお皿取れねえよ。
マグロ! あ、くそ、行ってしまった。イカ! ……も取れない。いや、当たり皿分かっても無理だろこれ。速すぎて寿司ネタがレーンにこぼれてるよ。食べたくないなぁ。帰ろうかな。
「あ!」
なんだ? 誰か当たりでも見つけた? 良かったね。俺は別の店行くわ。
「ああっ!」
ん? う、わ、ん! …な、何だ? マグロか、これ? うめえな。
「おめでとーうございまーす! お客様、大当たりでーす!」
え? な、何が起きたんだ?
「見事、他のお客様の手を弾いた当たり皿のネタを、口でダイビングキャッチなさいました! 皆様、こちらのお客様が当たり皿のネタを召し上がりました! 拍手をお願いしまーす!」
な、何? 今の当たり皿だったの? うわ、なんか照れるなぁ。
「当たり皿をお召し上がりいただいたこちらのお客様にはこちらの賞品……」
賞品くれるの? マジ? なんか色々とすいませんって感じだな。
「当店オリジナルのこのプレミアム当たり皿をプレゼント致しまーす! おめでとう御座いまーす!」
当たり皿。なんかいらない物くれちゃった。どうしよう。こんなのより寿司くれよ。意味ねぇよ。なんか一瞬でも期待した俺が馬鹿みたいじゃないかよ。もういい。俺は帰るよ。
「速いですがこれにて! 本日のタイムサービスを終了させていただきます! 皆様、ご参加ありがとう御座いました!」
「お会計、百二十円です」
とんだ店だったな。マグロ一皿で終わっちゃったよ。
……でもまあ面白かった。またいつか、来ようかな。
ただの勢いだけのショートショートですね。
ギャグとかコメディは当時から好きでした。