あれから。描いていた未来。トモキ編
あれから僕はどうしたか?
不思議な定食屋で出会った彼女とはどうなったかって?
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「パパー!ご飯できたわよ。」
妻が僕を呼んだ。
「ああ。今行くよ」
食卓につく
温かい食事に味噌汁。
そう、なめこの味噌汁。
「いただきます。」
1口すする。母のとは違うがすごく美味しい。
「美味しいよ。いつもありがとう。」
「なぁに。味噌汁一杯で」
コロコロと笑う妻は
あの定食屋で出会った彼女だ。
あれから僕達はお互いが見た景色を話し合った。
境遇のこと、未来のこと。
彼女は笑わずに真剣に聞いてくれていた。
彼女も色々な境遇を聞かせてくれた。何となく似ていて、2人ともなめこの味噌汁が好きと言うこと、未来の話では僕が出てきたと。
それからアウトドアという共通の趣味も。
僕達は意気投合し、2週間はあっという間に過ぎた。
東京に戻ってからも、交流は続き
僕達が付き合うまで時間はかからなかった。
そして
月日が流れ、プロポーズ。
場所はあの定食屋。
婆ちゃん店主も元気にしていて、僕達を祝福してくれた。
それから5年。
あっという間に子供は2人。
外で元気に遊ぶ明るい子供に育っている。
僕達の出会いを良く聞かれるが
[定食屋だよ]としか答えてない。
あの奇跡の出会いは、僕達夫婦の大切な秘密の出来事として、胸にしまっていこうと思う。
貴方も心が疲れたら
旅に出ると良いかもしれない。
もしかしたら不思議な定食屋に導かれるかもしれないから。