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味噌汁 婆ちゃん 終わった恋  作者: 駒城亜樹
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3章 味噌汁しかない定食屋 トモキ編

前々から来たかった西のとある田舎。

古民家を改装した宿泊場。

近くには川が流れ、イワナが釣れるらしい。

釣り好きアウトドアの僕には最高なシチュエーションだ。


元カノはインドアだったから遠慮して誘わなかった。

1度だけ誘ったら、虫が嫌だとか、日焼けが嫌だとか文句しか言ってなかったな。


後々考えるとそんなところも結婚に向かなかった要因なんだろうな。

ぼんやり考えてると、いつの間にかトンネルを抜けていた。


腹が減ってきた。

そろそろメシが食いたい。

どこかに店は?と探してると


一件の定食屋に目が止まる。

この先に店はなさそうだ。

車を停め、店に足を踏み入れた。


店内は少し広め、茶を基調としたテーブルと椅子

壁は淡い緑。


客は僕とキャンプ用具を持った女性が1人。

他にはいなかった。


女性は窓の外をぼーっと眺めている。が、時々深くため息を吐いていた。


「いらっしゃいませ。お好きな席に。」

店奥から小柄な婆ちゃんが出てきた。どうやら彼女が店主のようだ。


「メニューありますか?」


「いいえ。うちには味噌汁しかないですよ」

ニコニコとそう答えてきた。


「え?味噌汁だけ?」

僕は戸惑ってしまった。

壁を見回す。確かに他にはなかった。

参ったな~味噌汁だけじゃ腹の足しにならない。

他に店があるとも限らないしな。


仕方なく僕は

「じゃあ、味噌汁を」と言い、スマホを取り出す。


あ、電波通じてない。

ど田舎と痛感する。


5分とかからず味噌汁が出てきた。

「え?」お椀を覗き驚く。


具が入ってない。

湯気の上がる椀のなかには味噌汁の「汁」しかない。


「あの.....具は?」


「入ってますよ~」のんびりと婆ちゃん店主は答える。


「どう見ても入ってないですよ」

半笑いで返答する


「まあまあ、飲めばわかります」

ゆったりと婆ちゃんがすすめてくる


たかが味噌汁一杯で問答しても仕方ない。

椀を持ち、1口。


すると不思議な感覚が起こった。


味がした。

いや、正確には「懐かしい味がした」


もう1口。

間違いない。母の味噌汁の味がする。なめこの味噌汁だ、間違いない!


「あの!これは?」と顔を上げると

とある家庭の風景が広がっていた。

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