1章 終わった恋 トモキの場合
この話を書くとき、僕は婆ちゃんの作ってくれた豚汁を思い出してました。
あなたの思い描く味噌汁は誰の作るどんな味噌汁ですか?
「別れましょう。貴方といても幸せが見えない」
それが、僕が彼女から言われた最後の言葉だった。
僕の名前はトモキ。歳は28歳。
とある広告代理店にて主任をしている。
店の評価は上々、店長から売り上げが良いと表彰されたこともある。
仕事は順調、でもプライベートでは彼女から結婚を迫られていた。
彼女とは3年付き合っているが、正直結婚までしたいか?と問われると返事につまる。
料理は旨いし、家事もそつなくこなす、顔も綺麗で可愛い。
でも、彼女じゃないと考えてしまう。
いざとなると温かい家庭像が浮かばないし、彼女からは奥さま感が感じないのだ。
そうこうするうちに、先週彼女から冒頭の言葉と合鍵がテーブルに置かれていった。
正直、ホットしていた。
妥協した結婚に未来はないし
まだまだこれから出会いもあるだろう。
僕はこの失恋を機に長期休暇を取ると決めた(女々しい?ほっとけ。)
上司は驚いたが「たまには羽を伸ばすのもいいだろう」と申請を許可してくれた。
期間は2週間、有給はたっぷりある。
ど田舎でめいいっぱいのんびりするか!
僕は車を走らせた。