1万円と5円玉
地下鉄の最終便が出る少し前
お父さんとお母さんと兄弟と友達とその友達とその友達の兄弟と10人くらいでゾロゾロと
まだ夜ご飯で空いているお店を探して歩き回っていた
地下鉄の構内を抜けて
ホームの反対側まで抜けるために電車の回りを半周した
アトラクションにでも乗るかのように席が並んでいて
1両しかないが席はまだ空いているようだ
ここの地下鉄はとても不思議だ
私は乗ったことがないが
まずは縦に地下に降りるらしい
まさにエレベーターのようだと友達が言っていた
同級生は一人乗っていたが
同級生に似ていると思ったもう一人の人は全くの別人だった
彼らを横目に階段を上り
地上に戻った
毎日がお祭りのように露天のようなお店が並ぶ道を歩く
ここには小さい店頭販売がいくつもある
わた菓子屋さんの店頭には
手を握ったサイズのわたあめが透明な袋に入って並べられていたり
どう作られているのかは分からないが親指と人差し指で輪を作ったものの半分くらいの大きさのわた菓子が袋に入らず並んでいたりした
その隣には金平糖らしいお菓子も置いてあった
そこのお店の前の通路はとても歩きにくい
石で作られていてお店に向かって斜めっていて
一人通れるくらいの狭さで
いつも一方通行だ
3人がそこを抜けて
小学生になったばかりの一番小さな弟の背中を押しながら行かせようと半分くらいまで進んでいたとき
わた菓子屋さんのお姉さんが
「もうお店を閉めるからこの道を歩かないで欲しい」
と私たちに言った
分かりました
この子だけは行かせてください
そしたら先に行っている人と一緒に違う道で戻ってきてもらう
と伝えたときには
弟が渡りきっていて
よし渡れた
私は戻り
前の3人に声をかけた
彼らは道路に近い違う歩道で道を戻り合流した
わた菓子屋さんの前を通るのをやめ
活気のある露天の前を通ることになった
終電間近だというのに人が沢山いる
クリームが食べたい
一番下の弟が私に言った
どんなクリーム?
シュークリーム、ケーキのクリーム、クレープ……
…………クリームが食べたい
あのお店はパンで、あのお店はコロッケ…
と探しながら歩いていると
クレープの生地にクリームを包んだおやつが売られていた
これは?
うん!!
大きく頷いていた
店頭で見ると
ミルクチョコレート
ココアチョコレート
濃厚ショコラ
と種類があり
ミルクチョコレートは生地がクリーム色でホイップクリームだろう
そして中にチョコレートが入っているのだろう
ココアチョコレートは生地が薄い茶色だクレームはきっとココア味だろう
濃厚ショコラはこげ茶色をしている
おそらく中のクリームも濃いチョコレート味なのだろう
どれにする?
これ!
彼はココアチョコレートを選んだ
すみません。
ココアチョコレート1つと…
至福のミルクドール をいただけますが?
店頭のお姉さんに声をかけた
かしこまりました。
至福のミルクドールは半分でこの値段ですが大きさはどうなさいますか?
1つ…ください。
あ、半分でよろしいですか?
えっと、2つ分ですかね?
切らないサイズを1つ………。
かしこまりm…
ちょっと待って!!
本当に1つで足りる?
そう声を掛けたのは店長さんらしき見た目は男の人だった
見た限り、
受験生が一人居るわね?
少し離れたところの中3の大きな弟がおにぎりを食べていた
まだまだ食べ盛りじゃない?
それと、他にも食べたい人がいるかも?
本当に1つで良いのー?
この人は商売上手だ
その通りである
私は少し離れて待っている皆のところへ行って
私、至福のミルクドール食べるんだけど
他に食べたい人いる?
と聞くと
母と何人かが
どんなもの?
と付いてきた
パンのようなフォンダンショコラのようなものがミルクで出来たような色とボールのような形で大きさは手を握ったサイズで乗っていて
この下はどうなってるの?
と母が模型を触って確かめる
下は型が付いたプリンが3段
下から順に大きいプリン小さいプリンと積まれている
全体で見ると頭とドレスを来た人形のように見えなくもない
これは半分のサイズが956円でほぼ千円だ
2つ分(切らずに1つ)買うと1912円である
食べたい人が5人くらい居て一人は少な目でいいと言ったから
じゃあ、2つ分ください。
とお姉さんに伝えて
私は1万円札を出した
お姉さんはその1万円札にびっくりして
これは……。
と言った
私は少し前に買い物をしたばかりでお釣りの確認もせずお財布に入れていた
私のお財布には外国の紙幣も入っていて
ここでは使えるようだった
おそらく1万円以上のお札もこの夢世界にはあるのだろう
お釣りで1万円を貰っていたのだから
お姉さんに渡した一万円は訳ありで
お札を作ったときにミスが起きたそうだ
上の文字は金額の半分くらいからしか見えないところで切られていて
下の文字の下は何も書いていないところが普通のより広いようだ
これで大きさは一緒だから面白い
お姉さんが
ごめんなさい。
これは、お使いいただけないです……。
といって返してきたから
千円と端数でいいかと千円札を渡したあと
4千円必要なことに気付いてあと2千円札と千円札を1枚ずつといくらかの小銭を渡した
お父さんが近くで見ていたからこっそりと
お姉さん、知らないんだね。
と小声で言うと
そうだね。と少し困ったような顔をした
お金は多少破れていても使える
印刷ミスのものもある
コードで管理がされている
これのお陰で犯罪の防止にもなっているそうだ
電子に入れるとただの紙切れに変わったりもする
お姉さんが処理を始めたとき
ちょっと待って。
さっきのお札を貸してもらえる?
と店長さんらしき人がまた声をかけた
私はさっきの一万円札を渡した
なるほどね……。
これは…、大丈夫ですよ。
と私たちに言うと
店員のお姉さんに、これは使えるわよ。
とレジの裏技を教え始めた
このボタンと、これとこれを押したら……
画面が変わって、
ここにこのお金のコードを入れるの。
ML3a…………
入った。
(画面に10000円の表示が表れたあと、値段が引かれて6176円の表示になっていた)
これで引いてお釣りを返すといいわ。
でも、今回は………
お返しします。
1万円とさっき支払った4千円と小銭が併せて返ってきた
え?
今回はこちらの不手際で間違った案内をいたしました。当然のことです。
商品はサービスとさせていただきます。
あ、ありがとうございます。
当然のことです。
間違った案内をしたのですから。
その代わりといってはですが、その5円玉を貰ってください。
(そして、クレームは止めてくださいね……。)
と言っているようで
返ってきた小銭を見ると5円玉の一部が欠けて穴と繋がりCのようになっていた
分かりました。
(銀行に一緒に持っていきます。それから、そんなことしませんよ。)
とアイコンタクトを送ると通じたような気がした
面倒なものは早く銀行で換えてもらおう
そんなことを考えながら
私は目を覚ました