熱中症?の二人
若者「あー、今日も暑いなぁ。あそこの自販機でジュース買うか。」
爺「う・・・うぅ・・・。」
若者「おじいさん!?ど、どうしました?あそこに自販機あるんで水買ってきましょうか?」
爺「バ・・・バ・・・。」
若者「え?バ?」
爺「ババロア・・・。」
若者「喉詰まるでしょ。水の方がいいと思うんで買ってきますよ。」
爺「いや、水は・・。」
若者「え?絶対飲んでおいた方がいいですって。」
爺「わい、味のない物飲むとオエってきちゃう・・・。」
若者「知らないっすよ。じゃあスポドリ買ってきますから。ポカリ?アクエリ?」
爺「いや、スポドリは・・。」
若者「え?スポドリも飲めないんですか?」
爺「ネーミングセンスが、ねぇ?」
若者「ねぇ?じゃねーよ。自分のさじ加減でしょ。じゃあ麦茶買ってきますから。麦茶飲めますよね?」
爺「いや、飲めるけど・・・。」
若者「また?何がダメなんですか?」
爺「鶴瓶の顔思い出しちゃって・・・。」
若者「CM見なきゃいいだけでしょ!とにかく飲んでくださいよ、買ってきますから。」
爺「うわぁ!M字が!メガネの奥のつぶらな瞳が襲ってくるぅ!」
若者「どんあトラウマ抱えてるんすか?そしたらオレンジジュースでいいですかね?」
爺「お、お、お、オレンジィ?」
若者「知ってろよ。酸っぱくて甘いから飲みやすいと思うんで。」
爺「酸っぱいのなら梅干しじゃないと、梅干し・・・うーめぼし!うーめぼし!」
若者「元気になってきてんじゃねぇかよ!!梅干しが自販機にある訳ないでしょ!うめジュースならあるんで買ってきますから。」
爺「・・・・ハァー。」
若者「あからさまだな。わかりました、嫌なんですね。じゃあ適当にサイダーとかでいいですかね?」
爺「サイダー!?」
若者「また何かあるんですか?」
爺「サイダーなんてなぁ・・・サイダーなんてなぁ。」
若者「はぁ・・・。」
(爺、咳払いする。)
爺「た、珠江さん、こんな時間に呼び出してすまない。大事な話があって・・・。」
爺(体の向きを変える)「なぁに、話って?」
若者「何始めてんだよ急に。しかも棒読みすぎだし。」
爺(向きを変えて2役演じ分ける)「縁談の噂を聞いたんだけど・・・。」
爺「えぇ、本当よ。村長さんの長男の達也さんと来年の春頃式を挙げる予定よ。」
爺「やっぱり・・・あいつだけは駄目だ。女癖が酷いってもっぱらの噂だ。」
爺「あなたには関係のない事なのに、何で
そんなに心配してくれるの?」
爺「そ・・・それは・・・自分が
誰よりも珠江さんの事を・・・。」
爺「駄目よ。それ以上言ってはいけないわ。」
爺「好きだ!自分があなたを幸せにします。だから逃げよう。」
爺「それはできないわ。」
爺「さあ早く!村の若い連中に気づかれる。」
爺「できないわ。徳次郎さんだって私の家の事情くらい知ってるでしょ?ね?わかって・・・。」
爺「くっ、じゃあそこの崖から一緒に飛び降りて『向こう』で一緒になろう!さぁ!」
爺「できないわ、そんな事できない。」
爺「さぁ、早く見つかる前に!さぁ、早くあぁ!足が滑ったぁ!」
爺「徳次郎さん!徳次郎さぁん!」
爺「・・・青春は甘酸っぱい宝箱。四ツ矢、シュワっとサイダー。」
若者「重すぎるわ。全然甘酸っぱくねぇだろ!」
爺「そんな若者向けの飲み物を・・・こんなジジイに、老いぼれジジイに飲ませるって・・・・いふの・・・ふぁ・・。」
若者「もう声かすれてきてんじゃねぇかよ。水飲めよ。」
爺「ふぉ〜くらふぁ〜、きっふぉ〜まふぁってる〜。」
若者「そのかすれた声で歌ったら上手く聴こえるとかねぇからな。もう早く自販機のとこまで行って水分取らないと!」
若者「で、何飲みたいんすか?」
爺「コーンポタージュ。」
若者「ねぇよ。冬だけしか売ってないやつですからねぇ。」
爺「じゃあ何を飲めばいいんじゃぁ!?」
若者「コンポタ一択だったのかよ。もうお茶でもコーヒーでも好きなの飲んだらいいじゃないですか。」
爺「コーヒーやお茶は利尿作用
あるから逆に脱水進めてしまうから駄目じゃ。」
若者「無駄に知識持ってんじゃねぇよ。じゃ、おしることかどうすかねぇ。甘いけどコンポタに似てどろっとしてるし、好きじゃないんですか?」
爺「フンッ、おしるこって、飲みものじゃないじゃろ。」
若者「散々屁理屈かましたあんたが言うんじゃねぇよ!うっ、俺も脱水でやばい・・・。すいません、この金で水を・・・。」
爺「だからわい、味のない飲み物はオエってきちゃうから。」「
若者「「あんたに買うんじゃねんだよ!いいから水買ってくれって!」
爺「はぁ、仕方ない、エリアス買ってやるか。」
若者「あっ、それかっこいい。」
完