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僕は悪魔の子  作者: 長月よる
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6.確執

 長かった朝が過ぎ、ようやく宿の自室でベッドに座る僕は、真剣な顔で隣のベッドに座るエミリアとキーラに対面していた。


 ふかふかのベッドに身体が沈み、それに慣れないためかどうにも落ち着かない。

 現在、エミリアは微笑んではいるがその視線は真剣そのもので、さらにキーラが足を組んで威圧感のようなものを発しているせいで、室内の空気は緊迫したものとなっていた。

 どれくらいたっただろう。二人の沈黙が緊張感を高まらせる中、考え込んでいたエミリアはようやく口を開いた。


「それでは、質問させて頂きます」

「ああ……」


 彼女は、僕の目をまっすぐ見つめながら少し前のめりになる。そして全く予想外の質問を口にする。


「私たちの中では、誰が一番好みですか?」

「誰が……はあ?」

「私は……そうだな。やはり最近はレイが非常に愛らしいと感じている。照れて反抗的な態度を取ってしまうところが非常に好ましい」


 僕は目を丸くしてエミリアを見る。思わず力が抜けて、気の抜けた声を出してしまった。キーラに至っては聞いてもいないのに語っている。

 恐らくこれは、女性の好みの話しなのだろうが、何故そんな真剣な顔で今その話をしなければならないのだろう。その質問は必要なのか。

 僕は質問の意図が分からずエミリアを見るが、彼女はクスクスと笑っており、キーラもまた険しい表情を崩して笑みを浮かべていた。それを見てようやく意図を悟る。

 これは緊張を和らげるための質問だ。よって僕もリラックスして答えれば良いだろう。


「うーん……好みは特にないからな……それぞれいいところがある、そもそも会ったばかりだし――」

「その通りだ! 分かる、分かるぞ……!」


 キーラが突如立ち上がり、僕の両肩をガシッと掴む。そして目を輝かせて意味不明な情熱を一息に吐き出す。


「ローラは真面目で熱心なところが非常に好ましいしリーシャは少し天然だがそこもまた愛らしいしアマリアは大きくて威圧感があるが謙遜したり少し照れたりした時が最高でフランはあの臆病な性格が保護欲を大いに刺激してレイはあのツンツンとした性格がたまらない!! はぁ……はぁ」


 息が続かなかったのか、ようやく語り終わったキーラはエミリアの視線に気が付きそちらを見る。すると不自然な笑顔を浮かべるエミリアと目が合い、途端に熱が冷めていきベッドに座った。

 途中まではドン引きしながらもキーラの話しを聞いていた僕だったが、エミリアから発せられる殺気を受けてからは、キーラの言葉は頭に入ってこなかった。


 再び気まずい沈黙が流れる。キーラは足を組んで思い出したようにこちらを睨みつける。隣から発せられるプレッシャーの中、火照った頬をしているくらいであまり動揺していない。大した精神力だ。


「コホン」


 エミリアの咳払いで場が仕切り直される。


「失礼しました。そろそろ本題に入らせて頂きます」


 何となく緊張感がでない状況で集中できていないが、エミリアの真剣な視線が僕の頭を冷やしていく。そんな中、エミリアは試すように僕へ尋ねる。


「聖女をご存じですか?」

「聖女?」


 彼女から聞きなれない言葉を耳にして、思わず首を捻った。それを見たエミリアは目を閉じて思案してる様子だ。しかし少しの時間でその意識はこちらに戻る。


「知りませんか。そうですか」

「聖女、というのはこの国に生まれた、神に仕え、人間を導く美しい女性のことだ……私のハーレムに欲しいほどのな」


 少し残念そうな表情をするエミリアに代わり、キーラが『聖女』について説明してくれる。当然だが、最後の言葉は無視だ。

 思考を切り替えて……そのような存在のことは聞いた事があった気がするが、聖女という言葉は初めて聞いた。意図的に教えられなかったのか、はたまたあっちでは聖女という言葉は一般的ではなかったのか。それは分からないが、要するに人間側の宗教的な重要人物という事だ。

 しかしこの質問には何の意図があるのだろう。そう思いエミリアに意識を向けるが、彼女はすぐに次の質問に移った。


「では、レージさんの風属性魔法についてですけれど、あれほどの力をどのように手に入れたのですか?」

「どのようにって言われてもな。うーん……」


 質問の意図は分からないが、聖女とやらについてもっと聴いてくるかと思ったが、全く別の質問だった。少し拍子抜けしながらも次の質問に思考を巡らせる。

 もう一つの方はともかく、風魔法については特段意識して力をつけたわけではない。無論、才能の類が僕にはあったのだろうが、日頃から――特に森に来て最初の頃に様々な用途で多用していて、気が付いた時には今の水準にあったのだ。だから特に言うほどの事もないが、一応そのまま話す。


「日頃の生活から色々な場面で使ってただけだから……」

「……ふーん?」


 僕の言葉に、キーラが分かったようなそうでないような、要領の得ない声を出す。エミリアに至っては一言も発さずに僕を凝視して考えている。

 おかしなことを言っただろうか。そんな考えが脳裏をよぎり、僕は背中に冷や汗が伝っている感覚を覚える。

 あまりにも心当たりがなく、考えることもできずに二人の思考を待っていると、ようやくエミリアが口を開いた。


「では次の質問です。超能力、というものを知っていますか?」


 エミリアの言ったその単語を聞いた途端、僕の心臓は激しく拍動し、全身を悪寒が駆け抜ける。それは本当に誰にも話していないこと、誰も知らないはずのことだったからだ。

 しかし僕は、本や人づての話ししか知らない世間知らずだ。僕の心当たりとは全く関係のないかもしれない。いや、その可能性の方が遥かに高い。しかし分からない以上は、知らぬ存ぜぬを通した方が良さそうだ。

 僕は高鳴る鼓動を抑え、努めて平静を装ってエミリアを見た。


「いや、知らないな」


 うまく誤魔化せただろうか。自分では分からないため、不安が波のように押し寄せてくる。キーラはエミリアの方を見て様子を窺っていた。もしかして彼女は何も知らないのだろうか。だとすれば何故エミリアだけ――

 思考が別の所に向かっていると、途中でエミリアの言葉に遮られた。


「……そうですか」


 エミリアは僕を凝視していたが、顔を俯かせてそのまま瞳を閉じた。そして何となく暗い雰囲気を漂わせながら黙り込む。


――ばれたかもしれない。その瞬間、僕はそう直感した。

 どうやって言い訳をしたものか思案し始めたとことで、そう言えば昼食をとっていないことを思い出す。

 僕は特に食べなくても問題ないのだが、自分を忘れないために極力食べるようにしている。何より、現状では都合の良い話題転換になるだろう。……なればいいな。

 僕は慣れない笑顔を作ってエミリアとキーラに提案する。

 

「ところでさ、お腹すかない? そろそろご飯にしたいんだけど……」

「ん、そう言えば食べてなかったな」

「……そうですね……まあ、いいでしょう。そうしましょう」


 エミリアの慈悲に僕は思わずホッと胸をなでおろした。

 エミリアの言葉のあの間は、絶対に怪しまれていた。苦し紛れに話題を変えたことに気が付いたうえでそれを許してくれたようだ。まあ、別に昔の話しをするくらい構わないのだが、あまり思い出したくもないことだという事と、何が隠しているモノに結び付くか分からないため、結局は話さないでいた方が良い。


 昼食を食べることに決まった僕たちは、自室を出て階段を下りる。前を進むエミリアの後に付いて行くと、受付の隣にある小さい食堂のような場所に着いた。ここで食事が食べられるようだ。

 エミリアが振り返って一つの席を掌で示しながら僕を見る。


「あそこに座りましょう」


 それに頷いて僕たちは座った。するとすぐに、笑顔の可愛らしい女の子が僕たちの席へと駆け寄って来る。


「エミリアおねえちゃん! お食事ですか?」

「ええ、今日のおすすめを三人分お願いします」

「分かりました!」


 女の子は元気いっぱいに了解し、スキップをしながら離れていった。その後ろ姿を恍惚の表情で眺めるキーラを無視していると、心残りになっている今朝のことを思い出した。そう言えばまだ聞いていなかった。

 僕はそう思い、キーラを視界の端に追いやりながらエミリアに問いかける。


「そう言えば、今朝の話しだけど、リーシャって聖騎士と何かあったの?」

「……そうですね。それなりに有名な話ですし、今後のことも考えてお話ししておきましょうか」

「はあ……ん、そうだな。隠すことでもないし、面倒になる前に知っておいた方が何かといいだろう」


 少し逡巡したエミリアだったが、一度頷いてから了承してくれた。キーラには聞いていなかったが、妄想の世界から帰還して話しに乗って来る。

 あっさり教えてくれることに驚いたが、有名な話しであれば特段隠す必要もないのだろう。特に今後、下手に藪をつつかないように教えてくれるようだ。

 エミリアは思い出すように話し始める


「よくある話です。リーシャの魔法は本来、教会で修行して初めて使える代物なのです。しかしリーシャは生まれつきその魔法を使える才能を持っていた。さらに、彼女には他にはない才能があり、そのせいで教会に半ば誘拐されるように連れて行かれ、その後の人生を教会で送ってきたのです。」


 エミリアの悲し気な言葉に、キーラも腕を組んで若干だが重苦しい表情をしている。それにつられて僕も俯いて話しを整理する。


 教会は、リーシャの持つ才能を我が物とするために強引な方法を取ったという事か。リーシャの持つ才能……教会の十八番と言えば、確か回復魔法だったはず。だとすれば、リーシャの才能とは回復魔法ということになる。だが、さらに他にはない能力があるという事は、それは回復魔法ではないという事。もしかすると先の話しに出ていた超能力と関係があるのだろうか。いや、だとしても僕に超能力について聞く意図が分からない。単純に知っている可能性を考慮して聞いただけだったかもしれないが。

 ともかく、エミリアの話しの流れから考えて、リーシャは恐らく――


「そしてある時、リーシャは教会から逃げ出してきたのです」

「その時、私たちは偶然出会って仲間に迎え入れたのだ。教会から身を護るために、そして彼女自身で生きていくために」


 そこまで言った所で、女の子が料理を持って近寄って来るのに気が付いた。その隣には、その子よりも大きな男の子が料理を持ってこちらに向かって来ていた。


「お待たせしました!」

「エミリアさん……その、どうぞ」


 元気いっぱいに笑う女の子が僕の前に皿を置く。そして男の子は、キーラの前に皿を置いてからエミリアに照れながら話しかけていた。キーラは揶揄うようにニヤニヤとしているが、エミリアはいつもの微笑みを浮かべてお礼を言った。






 少し遅めの昼食を食べすぐ、僕たちは食後のハーブティーを飲んでいると、慌てた様子でフランが食堂に駆け込んできた。


「リーダー!」

「どうしました?」


 ほんわかとしてた空気は一転して緊張感が漂い、エミリアとキーラは瞬きする間に真剣な表情に変わっていた。

 二人は、立ち上がってフランに寄り添いながら話しの続きを促す。


「リーシャさんが……リーシャさんが攫われたんです!」

「なにっ……!?」


 僕たち三人はその言葉に絶句する。一瞬の硬直を経てから思考が動き始め、動いた思考には今朝の聖騎士たちと最後に残した言葉が浮かんでいた。


「教会ですか!?」


 流石に、そんな大胆なことをするとは思っていなかったのだろう。エミリアは驚きに満ちた顔をするが、フランはブンブンと首を振って言葉を紡ぐ。


「いや、全身真っ黒の服で体を隠していてっ、皆は盗賊じゃあないかってっ」


 キーラが眉をピクッと反応させる。フランの言葉に引っかかったところがあった様子のキーラがフランに質問をする。


「何故そんなことに?」


 キーラの当然の疑問にフランは、萎縮して涙ぐみながらそれに応える。


「リーシャさんが、迷惑はかけられないって言って、討伐依頼に……」

「まさか……あの状態で外に……」


 フランの言葉に、ショックを受けたエミリアが驚愕に満ちた声色で独り言つ。しかし、それでも取り乱すことなくキーラは質問を続ける。


「フラン、リーシャは別行動していたのか?」

「え、い、いえ……不意を突かれたけど、みんな一緒でした」


 恐ろしいほど冷静に状況を分析し始めるキーラを見て、取り乱していたエミリアが気持ちを落ち着かせていた。ヒマーリの中でもこの二人は特別相性が良いことを感じさせる。

 キーラはフランが怯えてしまうほどの鋭い殺気を放ちながら話す。


「そうか……リーシャもそうだが、ローラとアマリアを突破したという事は相当の手練れ。それにリーシャは前のギルドと教会の抗争でちょっとした有名人だ。人身売買をすれば一発でばれてしまう。それよりも、その力を必要としている組織に渡ったと考えるべきだろう」

「つまり――」


 キーラの落ち着いた分析を聞いていた僕は、言わんとしていることに検討が付いたため口を挟んだ。しかし、キーラの顔を見て途中で言葉を止める。そんな僕の代わりに頷いて、キーラはその先を言った。


「ああ、犯人は教会と見て間違いないだろう。本部の指示か、それともサンカ教会の独断かは分からないが……」

「フラン、他の皆さんは?」


 落ち着きを取り戻したエミリアがフランに尋ねる。フランも先ほどのキーラの殺気で頭が覚めたのか、落ち着きを取り戻しつつあった。


「は、はい。あの、皆さんは犯人を追ってます。ですが、レイさんが軽傷ですが負傷しています」

「そうですか……」


 フランの言葉にエミリアは何かを思案していた。彼女と同じく、僕も思考を巡らせる。

 仮に教会が犯人だったとして、目的は何になるのだろう。ここまでするからには切迫した理由があるはずだ。信仰を必要とする教会からすれば今回のやり方――対象はリスクが高すぎる。

 僕とエミリアが考え込んでいると、キーラは僕たちの思考を断ち切るように提案する。


「取り合えず教会に行ってみよう。何かわかるかもしれない」


 エミリアは顔を上げてキーラを見る。そして、少しだけ間を空けてからキーラの言葉に頷いた。


「分かりました。そうしましょう」


 二人は今にも出ていこうとしていたが、もし他のメンバーと行き違いになる可能性に気づき、僕は二人に声をかける。


「僕はここで待ってるよ。他のメンバーが来たらここで待つように言っておこう」

「お願いします」


 エミリアは振り返って焦った様子で見つめる。それから僕の隣でオロオロと狼狽えているフランを見る。


「フランも一緒に来なさい」

「は、はい!」


 そう言って、三人はバタバタと出ていった。その背を見ながらティーカップに口をつける。

 ああ言ったが、今後僕はどのような立場を取れば良いのだろうか。盗賊程度であれば、手を貸してギルドの信頼を稼ぐのもありなのだが、相手が教会となると話しは別だ。僕にだって一応の立場がある。教会を相手取りたくはないものだ。

 かと言っても、知らぬ存ぜぬが果たして通るのだろうか。確かにエミリアならば、僕が断っても受け入れてくれそうだが、僕へのポイントが下がる事は免れないだろう。ここでの生活はエミリア在ってのものなのだ。信頼や好意が減るのはできる限り避けたい。


 僕は、この二つを天秤にかけて考える。今最も優先するべき事項、最善の選択、角が立たない行動。どうすればより良い未来に繋がるか。

 考え込んでいると、不意にフランの言葉を思い出した。確か、犯人は全身を真っ黒の服で身体を隠していたと。つまり――


「バレなければ問題ないか?」


 僕はそう、結論付けた。


 今後の行動を決めたところでティーカップを見ると、中のハーブティーは冷めてしまっていた。思っていたよりも時間が経っていたようだ。

 辺りを見渡すと、近くには誰もいない。しかしその時、宿の扉が開き何人もの足音が食堂にまで響いてきていた。




「どうだった?」


 僕は戻って来たヒマーリメンバーに食堂で座って話しかける。すると思い詰めた顔のエミリアが、僕に頭を下げた。


「お願いがあります――」

「――分かった」


 僕は、彼女の言葉を遮って口を挟む。彼女は何を言われたのか分からなかったのか、その後も頭を下げたままだったが僕の言葉の意味が理解できたようで、驚いた表情で頭を上げ、信じれないといった顔で確認をする。


「え、本当に……?」

「ああ」

「まだ何も言っていませんよ……?」

「云いたいことは分かる」

「手伝って、下さるのですか……!?」

「当然」


 彼女は若干涙ぐんで僕の手を取った。周囲のヒマーリメンバーも喜びを表情に表す。それを見て僕は、自分のことしか考えていなかった事による罪悪感に囚われながらも笑顔を作る。

 もっとエミリアを信用しよう、そう思わされるには十分な表情をエミリアは浮かべていた。


 すぐさま食堂から僕の部屋に移動して作戦会議がなされる。僕の部屋が選ばれた理由は、物が殆どなく、広くスペースを使えるためだった。もしくは自分の部屋を見られたくないという乙女心が働いたのかもしれない。

 それはともかく、全員から発せられるピリピリとした空気を肌で感じながら、ヒマーリによる作戦会議は進んでいくが、疑問があった僕はそれについて質問することにした。


「結局、教会の仕業だったんだ?」

「ああ、そして教会には精鋭が常駐している」


 教会は嫌だなという思いは尽く砕け散った。しかし予想はしていた事、バレなければ問題ない。

 それにしてもこの人たちは、平和的、もしくは正攻法な解決などする気はないようで、教会に突入する方法を考えている。裏工作とかで何とかならないのだろうか。

 そんなことを考えてると、キーラが徐に口を開いた。


「リーシャがどこに捉えられているのか分からなければ話しにならんな」


 キーラの言葉に皆がうーんと頭を捻っているところで、フランが恐る恐ると言った感じで手を挙げた。


「あのー……探知魔法とかで探れませんか?」

「無理だ。教会内では魔力を放出するタイプの魔法は使えなかった」


 教会の厳重さがよく分かるのだが、キーラの言葉に引っかかりを覚える。“使えなかった”という事は、使ったことがあるという事ではなだろうか。……キーラは教会で何をしていたのだろうか。潜入でもしていたのだろうか。

 一瞬だけ自分とキーラが重なったが、すぐさま否定する。そうである確証はないのだから。


 室内に重苦しい空気が流れる。誰もが沈黙してしまい、聞こえるのは“うーん”という悩ましい声だけだ。

 教会と正面衝突する事態は避けなければならない。そうなってしまえば、悪者は証拠の無いこちら側になってしまう。つまり敵の目を掻い潜って秘密裏にリーシャを救出しなければならないのだ。必要な手段は、敵の目を欺く方法とリーシャの位置を特定する方法。位置を特定する方法には心当たりがある。要は魔力を使わなければ良いのだ。後は敵の目を欺く方法……。


 窓の外に見える青空には、月が怪し気に見つめている。早く決めなければ、時間がない。


――運命の夜が近づいてきた。

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