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ゲームで最弱の職業やってます  作者: モズク農園
5/8

5

暇つぶしにどうぞ


~5~


「ここをこうしてと…」

ある日、いよいよイノシシを倒す決心をした少年は、森の至る所に罠を仕掛けていた。

「あいつの行動パターンはだいたい把握出来ているから何とかなると思うけど、罠にかかるよな…」

雑魚モンスターを倒し、素材を集める合間にイノシシの生態を探っていたのだ。

「やっと1つ目の罠完成だ。罠名は、<<罠名→毒々クッキング>>ねぇ。」

思った通りと顔を下に向ける。

「やっぱ使った素材によって勝手に名前つけられるのか…。にしても、やっぱダサいな」

そうつぶやき、次の罠を作りに行く。

その道中で先程作った罠に表示された内容を見てニヤける少年。

「やっぱまずは毒だよな。それにサービスして食虫植物も置いてやろう。まさか、そこらにいた食虫植物を1度拠点に持って帰って、餌の代わりにアサシンキノコを食べさせるとまさかの成長しちゃったもんだから驚きだな」

少年が成長させた食虫植物は、本来この世界にはいないオリジナルのモンスターである。そんな事を少年は知りもしなかった。

「2つ目の罠は何にしようかな」

広い場所に出た少年は考え始める。

「何があるかな…」

しばらく考えているその時。

ドゴンッと、大きな音をたてて、岩石が少年の真横に落ちた。

「ちっ、またあの猿か」

木の上を見ると、足元にいくつもの岩石を置いたゴリラがいた。

「懲りないなぁ。またいつもの手で行くか」

そう言い、アイテムボックスから球状のアイテムと長方形のアイテムを1個ずつ取り出す。

それと同時にゴリラが岩石を持って飛び降りてくる。

「ワンパターンなんだよ!」

1つ目の球を思い切り投げ、すぐさまゴーグルと耳栓をする少年。

その直後、激しい高音と閃光で辺り一面が光に包まれた。

「どうだ!改良に改良を重ねた閃光玉の威力は!」

空中で突然の閃光に目が眩んだゴリラは、地面に落下した。

そこに少年は間髪入れずに近づき

「コイツもサービスだよ」

長方形のものを体にくっつけ

「さすがにこの距離はまずいな…」

そう言うと

「形状:縦2メートル。幅:1メートル。素材:地面の鉄成分。[素材加工EX」開始!」

少年の前に先程言った形の物が出来た。色は何故か地面の色ではない真っ黒ないろをしている。

「よし、そんじゃ、起爆」

少年が手元にあったボタンを押すと、激しい爆風が起こり、モンスターの気配が消えた。

「やりすぎちゃったな…」

ゴリラがいたであろう場所には、チリひとつ残っていなかった。

「さてと、気を取り直して、2つ目の罠を作りますか」

そう言って作業を開始する少年。

「罠はこれにしよう」

先程の戦闘が新しく作る罠の内容を決めた。

「本当は落とし穴にはめるのが1番なんだけど、あいつハマるかわかんないしな」

顎に手を当て考え始める。

「そうだ、落とすのにこだわらなくてもいいじゃなねぇか!」

おもむろにアイテムボックスから紐を出し、木と木の根元に1本の紐を結び始める。

「ブービートラップ的なものでいこう」

と言い、作業にうつる。

「時間もないし、簡単なのでいいや」

器用にアイテム同士を結合させると

「よし、出来た。引っかかると、上から樽爆弾が降ってくる仕組みだ」

少年のニヤニヤが増してきた。

「やべぇ楽しい、この調子でどんどん仕掛けていこう」

比較的広いエリアだったにも関わらず、少年はものの数分で作業を終えた。

「あくまであのイノシシようだからな、実際は俺が囮になればいいか」

そう言い別のエリアに歩き出す。


その道中、

「あいつの大好物は確か、<鉄鉱樹>の幹だったな。よく喰えるなあんな硬いもの」

少年はイノシシの生態についてまとめたメモを見る。

<イノシシの生態で分かっていること。1:<鉄鉱樹>と呼ばれる硬い木が好き。2:イノシシの体はその木の成分のせいか、刃物などが通りそうもない。

3:挑発に乗りやすい。>

「この木には何を仕掛けようかな」

木の幹を触りながら呟く少年。

「トラバサミとか効くかな…」

イノシシを観察している最中に足元が気がかりだった少年。だが、ここ最近あのイノシシを見てきて足まで強化されていると思えなかったのだ。

「そうと決まれば、この木を使って、素材:<鉄鉱樹>、大きさ2メートル。トラバサミ。[素材加工EX]開始」

目の前の木がどんどん小さくなっていく。

そして、少年の前にトラバサミが出現した。

(このスキルの使い方が分かってきたな。形状を今まで指定していたけど、普通にリアルにあるものとか言えば、それになるのかよ)

「まぁこれも何個か量産して仕掛けておこう」

そして作業に戻る。

「あとついでに、アサシンキノコの汁を塗りたくってと…。こんな感じだな」

仕掛けた罠を見て少年頷き最後のエリアに歩き出した。


「ここだな、っと、入る前にあれを着ないとな…」

アイテムボックスからスライムと防具を合成させたものを装備する。

ちなみにここではスライムアーマーと呼ぶことにする。

「これ装備しないと出くわしたらやばいからな、この前だってこのエリア確認し終わって出たらあいつがいたもんだからな…、死ぬかと思ったわ」

ブツブツ言いながら、辺りを漁り始める。

「ここが寝床で間違いないな」

草などが敷き詰められた所にイノシシが持ってきたであろう食料や生え変わった角が落ちていた。

「これは落とすしかないだろ」

即決で決め、作業を始める。

「幅:20メートル、深さ:10メートルの穴。[素材加工EX]開始」

ボコボコと音を立てて地面の形が変わっていく。

「よっと」

少年は深い穴の下に降りて、液体を撒き始めた。

「これでこんがり焼いてと」

油であった。

「そんで最後にあれを取り付けなきゃね」

そう言うと、先程の穴をスッポリ覆える布を出し、穴の上に落ちて被さるように仕掛け始めた。

「準備完了。狩りは明日の朝イチに開始しよう」

またこっそりとイノシシの寝床を出て拠点に戻る。そして、明日のために再度手持ちのアイテムを整理し、望むのであった。


~翌朝~


「いた、予想通りこのルートだな」

イノシシが少年の観察していた通りの行動をしている。

「さてと、死なない程度に頑張りますか」

そう言い、イノシシに先手をうつ。

「そうらよっと!」

ゴリラの時に使った自作の爆弾を木の上から投げつける。

ドゴーン!!という音とともに、イノシシにダメージが入る。

「さぁこい!」

こちらを向いたイノシシが猛突進してくる。

「逃げ足は一段と早くなってんだよ!」

森の中を突き進む少年、木々の隙間を縫って走っているのだが、イノシシはそれをものともせず突進してくる。

「あらよっと」

少年が身軽に跳ぶと、イノシシが罠にハマった。

「よし、1個目は上手く引っかかった。ついでにあいつのステータスも確認」

<<キングボア/状態:猛毒>>

「バッドステータス入ってる!」

その時、イノシシがハマっていた罠が壊れた。

「やっぱあのイノシシは規格外だな」

そう言い再び走り始める。


次の罠があるエリアに向かっている途中、少年の背中に激痛がはしった。

「カハッ…」

声が途切れ、倒れてしまう。

「な、何が」

振り返ると、イノシシの頭上にいくつもの岩石が浮いていた。

「やべっ!」

寸前のところで追撃を回避し、隠れる。少年は、調合した回復薬をバッグから出して一気に飲む。

「死ぬかと思ったぁ」

安心したのもつかの間だった。少年が隠れていた木がイノシシの突進によって破壊されたのだ。

「やっべ!これでもくらえ!」

<閃光玉>を投げつける。

激しい光とともにイノシシが怯む。

その隙に少年は、イノシシの目を狙い、爆弾を投げつけ、片目を奪った。

「どうだ、さらに改良した粘着爆弾だ!」

片目を奪われたイノシシから一定の距離をとり、走り出し、樽爆弾があるエリアに向かう。

その間もイノシシを挑発する。

「ここは、とにかく走り続けるなきゃな」

そう言い、イノシシを連れて走ると案の定、イノシシが紐に引っかかり、上から降ってきた樽爆弾をモロに受ける。

「これは効くだろ!」

少年がそう叫ぶと、突然イノシシが前足を高く上げ始めた。

「いったい何を━」

その直後、大きな揺れとともに、木の上に吊るしてあった樽爆弾が全て落ちたのだ。

「こいつはまずい、あれを着ないとな」

アイテムボックスからスライムアーマーを取り出し、着る。

「よしよし、見えてないな」

影からイノシシを見る。

「もうそろそろ疲れてきたはずだと思うけどな…」

メモを見始める少年。

「あいつは体力が少なくなったり、走り疲れたりすると<鉄鉱樹>を食べに行くんだけど」

少年がそう呟いていると、イノシシは先程の行動が響いたのか、少年が予想していた<鉄鉱樹>があるエリアに向かう。

「追いかけなきゃ行けないな…」


ガリガリと削り取るような音を立てながら、食事をしているイノシシ。

「あれ?トラバサミに引っかかってない?」

辺り一面に仕掛けていたいたトラバサミがマップを確認するだけで数えるほどしか残っていなかった。

「な、なんで」

と、少年はイノシシの足元を見る。

「あいつ、なんで…」

以前観察していた時には何もなかった足元に頑丈そうな岩石が無数についていたのだ。

「食事ってあの木だけじゃなかったのか…」

(どうする、ここはまた作戦を練るか)

少年が悩んでいたその時、

「グフッ!な、なんで…」

イノシシの突進が腹部に直撃した。

「透明なはずなのに何故バレたんだ」

再び回復薬を使う。

その間にもう一度イノシシが突進してくる。

「ちっ、閃光玉!」

眩い光を放ち、イノシシが再度怯む。

「あいにく、罠以外にも色々あるんでね」

そう言い、アイテムボックスから黄緑色の液体が入ったフラスコを投げつける。

「効いてくれると嬉しいが」

その言葉の後に中の液体がイノシシにかかった瞬間、イノシシの体についていた鉱石と皮膚の間に液体が入り込み、イノシシが悶絶する。

「ここで、煙玉!」

少年が地面に投げ付けた玉から大量の煙が辺り一面を覆い尽くす。

その隙にイノシシの視界から外れた少年は様子を見ていた。

「これがラストかな」

そう言い、鉱石の破片で自分の腕を少し切り、スライムの時と同様に布に血を染み込ませる。

「あいつより早く住処にこいつを仕掛けないとな」

また、少年は走り出す。


「この上に布を置いといてと」

イノシシの住処に来た少年は罠の上に布を置いて、住処の入口で爆弾を投げた。

「この音に寄って来るだろ」

少年が言った通り、数分でイノシシがやってきた。

そこに少年は大声で叫んだ。

「こっちだバーーカ!」

その一言に片目を潰されたイノシシは、少年の血がしみた布の方へ突進した。

直後、ズドンッと隕石でも落ちたような音をだして、イノシシが穴の中に落下した。

「あばよイノシシ!」

その隙に火をつけた棒を投げ入れる。

穴の中からはみ出るほどの火がイノシシを襲う。

「こんがりとな…」

そろそろかと言わんばかりに、紐を切る少年。

「これで終わりだ。この布はな、空気を通さないように加工してあんだ、つまり、これが被さった穴の中は空気がゼロ。窒息死してしまえ」

先程まで焼かれ、鳴き声が聞こえていた穴のなかから急に声が止んだ。

しばらくして穴の中を確認すると、イノシシは口から泡を噴いて倒れていた。

「ふぅ…疲れたぁ」

安堵していたその直後、少年の頭の中にメッセージが届いた。

((称号逃走の神を手に入れました))

((称号高みの見物を手に入れました))

「要るかな、この称号…」

そう呟き、立ち上がり。

「そろそろ街に行かないとな」

ひと言口にして、拠点に戻るのであった。

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