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ゲームで最弱の職業やってます  作者: モズク農園
2/8

2

〜2〜


「…あれ、ここどこ?」

アバター作成を終え、始まりの街へと転移させられるはずだった少年。なぜか一人、森の中にいた。

「人の気配もないし、ここが街ってわけじゃないよな」

木々の隙間から光が差し、夜中ではない事が確認できる。

「まぁここで突っ立っていたって仕方がないしな」

そう言って少年はおもむろに歩き出す。

近くにあった大木を触りながら言う。

「にしてもさすがVRMMO、匂いや質感までリアルだな…」

ふと横を見ると、白くて丸い大きな大福があった。

「何だこれ…!?」

手が沈んだ。

「やわらけーー!しかもフカフカじゃん!」

少年は大福みたいなものを、伸ばしたり、軽く殴ったり、抱きしめたり…とにかく堪能していた。

「…フゴ」

するとどこからともなく何かの鳴き声が聞こえた。

「ん?なんかいるのか?」

少年は周囲を見渡したが何もいない。

「気のせい、か」

そんな事を言っていると。

ゴゴゴゴゴ!

「な、なんだ!?地面が揺れている!」

急に起こった揺れに足を取られる。現実で経験したことがある地震よりも遥かに大きい。

しばらく経って揺れがおさまってきた。

「なんだったんだろな…」

先程の揺れのことを考えていると、手に違和感があることに気づいた。

「ん?なんか動いてね…」

自分の手の方向に視線をやると。

イノシシがいた。

それもただのイノシシでは無い、大きさは見るからにしてクマよりもでかい。いや、もしかしたらそれ以上ある。

「や、やばい!」

少年が口にした瞬間。

「フギャーーーーーー!」

イノシシと目が合ってしまった。

そこからの少年の行動は早かった。

(逃げる!それしかない!)

少年は走り出した。

だがそれを見たイノシシは一目散に追いかけてきた。

「ウッソだろお前!?走れるんかい!」

迫ってくる巨体に驚きを隠せない。

「やべっ!アイツ速い」

先程から逃げているが全く突き放せない、むしろ距離が縮まっている。

「な、なんかねーか」

少年はひたすら逃げ続けながら考えた。

「そうだ!スキルがあった!」

ズサ!

「な、なんとかまけた…」

木の裏に隠れ、そう口にするとステータスを開きスキル欄を見る。

「どれだどれだ俺のスキル…!あった!」

自分のスキルにめちゃくちゃ期待していた少年だったが…

[素材加工EX]

「ちくしょー!そうだった!戦闘関係なかったー!」

自分の当てたスキルを見て嘆いてしまう。

「こんなん一体なんに使えんだよ…」

スキル欄を閉じようとした時、少年はなぜか気になった。

「“素材”ってどれだ?」

ふと、そう口にした。

「単純に考えると素材って材料みたいなもんだよな…じゃあこの森の中にある“木”って使えるんじゃないのか?」

少年はそう言うとおもむろに隠れていた木に手を当て。

「形状、筒状。長さ1メートルほど。[素材加工]実行。」

木の一部がひかりだし、先程言った物に変わっていく。

「出来ちゃったよ…」

あっけに取られた少年は、またすぐに考え始めた。

(このスキル強くね。だってあれだろ?最悪、土でも空気でも考えようによっちゃ“素材”みたいなもんだろ?)

しばらくブツブツと呟いていると。

ピロンッ♪

「ん?」

メッセージ欄に「スキル初使用おめでとう!」というメールが送られてきた。何やらプレゼントも付いていた。

「なんだこれ?」

メールに付属していたプレゼントを開けると[初心者でも出来る罠]というタイトルの本が出てきた。

「これはあれか?読めってことか?」

少年は本を手に取り、パラパラとめくり出す。

そして突然。

「スキル[初級罠設置]を入手しました。」

そんな音声とともにスキル欄に[初級罠設置]が追加されていた。

「これで、あのイノシシ倒せるんじゃないか…」


ここから、街に行くわけでもなく人に会うわけでもなく、ただあのイノシシを倒すための計画が始まった。





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