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8.お前か!


 チャラ男ことクリストフ=ナスタチウムは私と同学年の二年生。

 ナスタチウム商会という、国で一、二位を争うほど大きな商会の跡取り息子だ。

 ナスタチウム商会はいわゆる輸入ビジネスを主に展開している。

 幼い頃から親の仕事先に付いて回っていたクリストフは、コミュ力の化物みたいな人種で、私などは現実世界ではお近づきになりたくないタイプである。

 現在では現実世界なのだけど。

 

 そんなクリストフは昼休み、校内にある噴水広場に現れる。

 何をしているのかと言うと

 

「はぁ~い、いらっしゃい♪」

 

 商売をしている。

 

 クリストフの店では、行動力を回復するアイテムや特定の攻略対象の好感度を上げる課金アイテムなどを販売している。

 ちなみに行動力回復アイテムはハーブティー、好感度を上げるアイテムはボディミストで、一時期ファングッズとして販売されていたこともあった。

 懐かしい気分になった私は、クリストフの店を覗いてみることにする。

 彼の店は本人の人気と質のいいアイテム、そして恋に効くアイテムを扱っているので、年頃である学園の生徒がよく利用しているのだ。

 モブが行っても問題はない。

 

 噴水から少し離れた場所にある、八角形の鉄製の白い西洋東屋には薔薇のつるが巻き付き、四季咲きの白薔薇が溢れんばかりに花開いていた。

 その花の下では、少し長めの濃いオレンジ色の髪をカラフルなヘアピンで飾ったクリストフが両手を広げ、にこやかに客を迎えている。

 はしゃいでいる女生徒二人の隙間から私は商品の並んだテーブルを覗き込んだ。

 ゲーム内では一種類だったハーブティーは三種類ほどあり、課金という概念は存在しないためかボディミストは少しお高めながら普通の通貨で購入できるようだった。おそらくゲームほどの効果はないんだろう。

 その他にも、学生らしくちょっとおしゃれな文具、さらにはクッキーやキャンディもある。

 そして、奥の簡易テーブルには鎮座する赤茶色い物体。

 軽く内側に巻いたほぼ三角の上部に細長い足が生えた、この、薄い物体は、私、今朝見た…

 

 その瞬間、

 

「出所はお前か!」

 

 思わずツッコんでいた。


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