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41.さりげない衝撃


 私がベーグルサンドを食べ終わっても、まだアンゼリカ達はキャッキャしていた。

 楽しそうで何よりだけど、ちょっと寂しい。

 

「二人とも、早く食べないと先にデザート食べちゃいますよ?」

 

 コリンくんに頼まれたから…というよりはちょっぴり拗ねた気持ちで二人を促す。

 

「あ…!クレナ、ごめんなさい!すぐに食べるからちょっと待って!」

 

「まあ、ずるいですわ!先に食べたら許しませんわよ!」

 

 帰って来た返答にうっかり顔が緩みかける。

 よかった。一緒に食べてくれる気はあるんだ。

 

「では、食べ終わったら声をかけてください。コリンくんもちゃんとお昼食べてね。私はちょっとクリスさんのお店見てきます」

 

 そう言い残してベンチを離れる。

 コリンくんは置き去りにされた子犬みたいな目でこっちを見たけど、アンゼリカと一緒にお昼を食べられるんだからむしろ喜んでほしい。

 私に対してはワガママで女王様なくせに、好きな人には随分と消極的なようである…まあだからこそ私の上履きを隠すという斜め上のアピールをかましたわけなのだが。

 

 

 クリストフのお店に近づくと、私に気づいた彼が軽く右手を上げて迎えてくれた。

 

「いらっしゃいクレナ嬢。後ろからすごい目線飛んできてますよ」

 

 コリンくんのじっとりとした目線にクリストフも気づいているらしい。

 

「モテモテですね~」

 

「いえ、あれは違うんです。どちらかと言えば下僕だと思われてるというか…」

 

「ふぅん?」

 

 納得したのかしてないのか分からない返事をして、クリストフは「まあいいんですけど」と独りごちる。

 

「モテモテと言えば、最近レイヤード様とは逢い引きしないんですね~」

 

「は……」

 

「よく図書準備室で会ってたでしょう?」

 

 なんで知ってるの!?

 

 あまりのことに驚愕がありありと顔に出てしまった私は、今更否定もできず、あうあうと意味のない音を発するだけしかできなかった。

 

 


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