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カニバル先輩と魔女後輩  作者: 柿の種


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Story 47【自と他は違うモノ】


自分と他人は違う。

当然だろう。

自分という個はこの世に自分しか存在せず、他人という個も同様だ。


「――だから、こういう認識の差ってのは埋まらないんだろうねぇ」

「まぁでしょうね。物事に対する理解度だけでも違いは出ますし、それ以外にも……感じ方や好み……生きている上で完全に他人と同じだって言えるような感覚はあり得ないと思いますよ」


場所は、郊外の人気のない墓地。

いつも通りの場所で、いつも通り2人で、いつも通りに深夜の談合が繰り広げられている。

そんな中、僕の目の前に座り紅茶を啜る女性……人肉を喰らい、魂を喰らい、人外をも喰らう僕の先輩は突然「人によって感じ方が違うのって何故なのだろうか」という哲学的な問を投げかけてきた。


「そうだろうねぇ。私と君でも全然同じように感じない事は沢山あるもの」

「そりゃそうですよ。いくら僕らが人外寄りだからって人外が人外で一括りになってるわけでもないですからね」

「あは、そりゃそうだ。私と同じ『食事』を君がした所で、それが君の糧になるわけでもなく。私が君と同じ食事をした所で、生きていけるわけもない。こういうのもある種『差』ではあるんだろうね」


他にも、自己と他人で感じ方、受け取り方が違う出来事は存在する。

分かりやすい例を挙げるとすれば、


「時間の経ち方とかも人によって違いますよね」

「あぁー、そうだねぇ……。辛い事は1分1秒が本当に長く感じるけど、周りからすれば全くそんな事ない事とか……ねぇ?」

「ありますねぇ。僕、実は高い所とか苦手なんですけど、友人らと遊園地とか行った時に乗るジェットコースターとかとんでもないですよ。実時間2分くらいなのに、30分以上に感じたりとかありますもん」

「あは、だからこの前一緒に乗った時青ざめた顔してたのか」

「そういう事です。……まぁこれも認識の差ですよね。先輩はああいったアトラクションとかそんなに苦手じゃないでしょう?」

「苦手じゃないどころか大好きな類だねぇ。遊園地とかはあまり行かないけれど、行ったらずっと乗ってるタイプさ。分かるだろう?」


確かに先輩はそういう人だろう。

平和なゴンドラなどに乗るよりも、何かしらスリリングな要素があるアトラクションに乗っているイメージが強い。


「君が何を言わんとしようしているかは分かるけれど、平和なアトラクションも好きだぜ?寧ろそっちのが私は好きだね」

「そうなんです?……あぁ、これも」

「そう、認識の差って奴さ。いやぁ、こうしてちょっと雑談してみるだけでも割と見つかるもんだねぇ」


そう言って、先輩は人の血を混ぜた紅茶を美味しそうに飲んでいく。


「そういえば、なんで先輩は『認識の差』なんて話題を出したんです?普段そんな事を言うタイプでもないでしょうに」


寧ろ先輩は、そういった認識の差を上等と切り捨てながら、自の道進んでいくタイプだろう。

今更他人からの評価を気にするようならば、彼女はきっともっと昔に折れている。


「いや、私自身そう思ってるんだけどねぇ。やっぱり恩師から『講演会を開いてくれ』なんて言われたら話題を用意しないといけないじゃないか」

「あー……成程……ちなみに今日の会話は役に立ちました?」

「役に立ったか立ってないかで言えば……十二分に役には立ったさ。ありがとうね、魔女後輩」

「いえ、こんな話で役に立てたなら幸いですよ、カニバル先輩」


本当はもっと話せることも多いだろう。

それこそこれだけで朝まで話す事が出来る。そんな確信まであるくらいには濃い話題だ。

だが、打ち切る。他の話題に移ろっていく。


これもまた、僕達2人とそれ以外との認識の差、なのだろう。


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