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カニバル先輩と魔女後輩  作者: 柿の種


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Story 28 【契約とは・後】


「で、単刀直入に聞くけれど。どうやったら精霊を見つけることが出来るんだい?」

「いやまぁ、色々と方法はありますよ。例えば……そういった道具を使う、とかが一番簡単なやり方ですかね」

「道具……っていうと、小説とかでいう眼鏡とかそういうのかな?」

「そうですそうです。『視るという事に特化した道具』であれば、『精霊を視るという機能』を付ける事も可能ですから」


例えば、と言いながら僕は指を弾く。

すると僕たちの目の前のテーブルに1つの眼鏡ケースが出現した。


「これがその精霊を視ることが出来る眼鏡になってます」

「ほう、触ってみてもいいのかな?」

「いいですけど、使えませんよ。魔力によって本人かどうか、使用許可を出すか否かってセキュリティを入れてあるんで」

「……チッ」


舌打ちをした先輩は、されど気になるものは気になるのか眼鏡ケースを開け中から僕の眼鏡を取り出した。

普通の黒縁眼鏡だ。そのレンズにはうっすらと魔法陣が描かれていて、月の光によって輝いて見えた。


「この魔法陣が精霊を視るために必要なものなのかい?」

「道具で視る場合は、ですね。他にも方法はもちろん存在します」

「成程?その方法ってのは私でも出来る事かな?」

「勿論出来る、とは思いますよ」


と言いながら、先輩の手から眼鏡を返してもらいもう一度指を弾くことで虚空へと収納する。


「一応言っておくと、魔女は基本的に道具には頼らないです」

「ほう?じゃあアレはどうして?」

「僕が基本的な魔女ではないって事ですね。単純に便利に使えるのなら使った方が楽じゃないですか」

「確かにねぇ。黒電話とか使うくらいなら今のスマホ使った方が私達には分かりやすい、みたいなやつか」

「そういうことです」


周りのこちらを監視している魔女が嘆息したり苦笑しているのを感じながら、それでもなお話を続ける。

先に言っておいたんだ。ここで何を話したって別に僕の意見でしかないのだから大丈夫。


「僕たち、基本的に魔力が扱える者が使うのは自身の目ですね。……もう先輩なら出来るかな。声に魔力を乗せるように、目に魔力を送るんです。注意しないと魔力によって目が爆発とかあるんで気を付けてくださいね」

「急に恐ろしい事を言うね!?えー【っとぉ……こう】じゃない。こうか」

「おぉ、初めてにしてはすぐに出来ましたね」


目に魔力を送り、その状態で周囲を視る。

すると、だ。

周囲の景色は一変する。


地面からは天へと上がっていく光の玉が。

僕らの周囲には薄く光る光の糸が視えるようになる。


そして、その中でも悪い意味で目立っているのは先輩だ。

赤黒い何かが身体に纏わりつき、よくこちらが見えているなという状態で話している。

それを本人は全く気にしていないのか何なのか。


「おぉ!?なんだいこれ!凄いな!」

「でしょう?あぁ、周囲に浮いている光は自然から湧いた魔力で、そこらへんに糸のように張り巡らされているのは魔術によるものなので気にしなくていいですよ」

「ほうほう。ちなみにあの糸って切れるのかい?」

「切れないことはないですけど……今それやったら僕が怒られるので止めておきましょう」


周囲から感じる圧が少しだけ強くなったのを感じつつ。

苦笑いしながら話を進める。


「お!その首の子がさっきの子だね?」

「そうです……っていうか、まだこんなところに。おかしいな、この辺りは水辺がないからすぐに移動するはずなんですが」


視れば、僕の首には普通には見えない状態ではありながら、未だに先程呼んだ水霊……水を司っている精霊がそこにいた。

その視線は僕ではなく先輩の方へと向いていたが。


「……なんか私、見られてる?」

「ですね。……あぁ、警戒してるのかも」

「警戒?何の……って。なーるほど、さっきから絡みついてるこれ(・・)か」


先輩が自身の身体に絡みついている赤黒いものを掴むようにして、その手がすり抜ける。


「神の祝福(呪い)の所為だろうねぇ。あとは喰らってきた人達の怨念とかね」

「まぁ通りですね。……さて、精霊が視えるところまで行ったら簡単です。あとは話して、契約について話を進めるだけになります」

「『深淵をのぞく時』云々って奴だね」


『深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ』。

ドイツの哲学者、フリードリヒ・ニーチェの言葉だ。

まぁ色々な解釈があるものの、使われる時に多いのは『ミイラ取りがミイラになる』と同じような意味としてだろうか。

今回の場合、それも間違いではない。


視ているのなら、視られている。

今の僕たちの状態はそういう状態だ。

一歩ばかり、向こう側……精霊や魔力によって存在している者たちの世界に踏み込んでいる状態。

だから認識もされるし、話も出来る。……害も加えられる。


「ですね。……さて。ここまで話してみましたけど……契約できると思いますか?カニバル先輩」

「無理だねぇ。この身体じゃ絶対に無理だ。いやぁ、勉強になったよ魔女後輩」

「いつか先輩と契約してくれる物好きな精霊も見つけられたらいいですねぇ」

「あは、そういうのは精霊とは言わないさ。少なくともこんなの()と契約するようなのは、ね」


今宵もこうして朝が来る。

どうしようもないほどに、清々しい朝が。


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