Story 25 【その日その月】
いつもと同じ場所。
そして、同じ時間。
2人の男女は集まった。
「いやぁ、今年も終わるねぇ」
「そうですね、意外とあっという間だったというか……」
「あは、確かにね。歳をとるたびにそう思うよ。1年っていうのは長いようで短いねぇ」
今日は12月30日、そして31日になる間際の時間。
ほぼほぼ大晦日だ。
忘年会、というには遅いかもしれないが……それでも僕たちはここに集まって、今日も話をする。
「しかし、こうして先輩と年を越すことになったのは2回目ですか」
「なんだい?こんな美女捕まえて何が不満なのかなぁ?」
「美女なのは否定しませんが、それ以上にダメな性格や趣味があるので」
「あは、それを言われちゃ仕方ない。ありゃ私のライフワークだしねぇ……しかし、2年か」
期間的にはあと3~4ヵ月ほど経たないと2年ではないのだが、無粋なので言わない事にしておいた。
恐らくは彼女も分かっていっているだろうから。
「そういえば、なんで31日とか30日の事を大晦日って言うんだろうね?知ってるかい?」
「……まぁ、一応触り程度なら。じゃあ今日はその話をしましょうか」
一息。
「まず、大晦日。これの晦日という部分から行きましょうか」
「おや、大晦日の大は意外と関係なかったりするのかな?」
「関係ないわけではないんですけどね。……晦日っていうのは、元々『三十日』の古い表現として使われてきたらしいです。ほら、二日とか三日とか五日とか言うでしょう?あれと同じです」
「……ふむ」
先輩は真面目に僕の話を聞く態勢に移ったのか、真面目な顔をして僕の話に耳を傾ける。
「そして、先程も言った通り、月の終わりである30日、あるいは29日の事を晦日と呼んでいたんですね。……この晦日っていう文字の当て方には月の変化が関わってくるんですが……まぁ、今は置いておきましょう」
「成程ねぇ。あー、それぞれの月の終わりが晦日って事は、つまり1年の終わり……最後の日だから『大晦日』って言ったのかい?」
「そういうことです」
実際、月の話をし始めると説明が面倒になるために今回は省かせてもらった。
またどこかで話すべきだろうが……その時は、また別の話に絡めて話すことにしよう。
「いやぁ、割と面白いねぇ。この分だと多分アレだろう?三が日とかそこらへんにもそういう由来があったりするんだろうか?」
「んー、一応はあるとは思いますけどね。流石にそこまでは」
「おや、そいつは残念。でもいいかもしれないなぁ……昔からある言葉の由来とか勉強するのも楽しそうだ」
「良いですね、今度やりましょうか」
そんなこんなで。
新年の予定を決めつつ、僕と先輩のある種忘年会のような会合は終わりを告げる。
「よしっ、じゃあ私はこの辺で帰ることにするぜ。来年もよろしくね魔女後輩」
「こちらこそ、よろしくお願いしますよ。カニバル先輩」
「まぁこういって別れても、1時間後くらいにはゲーム内で会うんだけどね」
「それを言ったらお終いですよ」
そう言って、僕たちは別れ。
それぞれの家路に着いたのだった。
月は、普段よりも見えづらく……所謂、晦と言うべき日であった。




