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カニバル先輩と魔女後輩  作者: 柿の種


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Story 23 【受け取り方は人次第】


草木も眠る丑三つ時。

収穫祭が近い、というわけでもないのに仮装のような恰好をしている男と、冬だというのに未だ半袖短パンという季節外れな格好をしている女が2人、人気のない墓地にて楽し気に話していた。


「あは、じゃあその子は割と苦労してるわけだ」

「そうですね。人狼混じりのはずなんで、色々と大変なのは分かるんですけど」


今日も今日とて、僕の目の前に座る女性……通称カニバル先輩は、僕の話を聞いて笑う。

本当に些細な事でも面白さを見出し、笑いへと変えるのがこの先輩だ。

時々真面目な話をすることもあるが……それはソーシャルゲームのガチャの確率ほどに低い。


「よし、じゃあ今日は私からも1つ話をしようか」

「ん。何の話です?」

「言葉の話、と言うよりは……相手がどう受け取るかの話かな」


……今日はSSRだったみたいだ。

心の中で少し笑いつつ。

先輩に話の続きを促した。


「ほら、言葉……特に私達がこうやって話している日本語って奴は、受取方によってはかなり無礼になってしまったりするだろう?」

「そうですね、融通が利く分融通が利かないというか……こんな事言ったらアレですが、英語とかの方が直球でコミュニケーションをとるなら便利ですよ」

「そういう事さ。……日本に生きる者としては言いたくはないけれど……やっぱり日本語(コレ)って、難解で非常に面倒な言語なんだよ」


先輩が言っている意味も分かる。

こうやって話していること自体も、日本語の言葉の使い方によっては即戦闘が開始するかもしれないのだ。

それに、イントネーションだけで意味も変わって捉えられてしまう。


すぐに思いつくのは「いいです」だろうか。

否定にも肯定にも相手がとれてしまう言葉。イントネーションによって多少の誘導は出来るものの、それでも人によっての受け取り方は違うだろう。


「成程……で?なんでこんな話を?」

「いやぁ、友人にさ。SNSで見知らぬ他人に喧嘩売ってるみたいな書き込みを垂れ流してる子がいてね。話を聞けば、本人はそんな気は全くなくて」

「あぁ……だから受け取り方って言ったわけですね?」

「そういうこと。当人とその周りの受け取り方が全然違うんだから、どうやってその子にそれを伝えられるかなぁって話ながら考えてるのさ」


難儀な友人もいたものだ。

僕だったら直接問いただしてしまうだろう……そこまで考え、僕はある違和感を覚えた。


「……先輩、その子にまだ何も言ってないんです?」

「あぁ、そうだよ。まだ何も言ってない。というか、本人も私に言ってるって自覚はないだろうね」

「……どうやって聞いたんですか?」

「そりゃ、SNSで。友人の本人アカウントと私の匿名アカウント繋がってるんだよ。友人は知らないけれど」

「うわぁ」


地味に恐ろしい事をするものだ。

それはつまり、知っている相手の悪口を言った瞬間にバレてしまうという意味でもないだろうか。


「なんというか、言葉の使い方や話の仕方に気を付けようかと……そう思いますよ。カニバル先輩」

「そうするといいぜ?あ、一応言うと君のアカウントとも繋がってるからね魔女後輩」

「はぁ!?」


今宵の会合もこうして終わりを迎えていく。

月におやすみを。


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