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カニバル先輩と魔女後輩  作者: 柿の種


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Story 17 【別れと出会い?】


「君は人の別れって奴には種類があるって知ってるかい?」


今宵も、いつも通りに茶会の準備をしていれば。

先輩が少し笑みを顔に浮かべながら、そう口にした。


別れ、と言われたものの。

確かに種類があることくらい知っている。

例えば、卒業式なんかの『形式上の別れ』。

例えば、誰か亡くなった時の『永遠の別れ』。


それらの事を言っているのか、と先輩に聞いてみれば、


「ん、まぁそうだね。でも君は誰かが死んだ時以外にも君の言う『永遠の別れ』って奴が訪れるって知ってるかい?」

「……どういう事ですか?」

「まぁ簡単な話さ。さっき別れには種類があるって言ったけれど、全ての『別れ』って奴は最終的に『永遠の別れ』に繋がっているってだけの話。……例えば、君も応援しているアーティストの1人や2人くらいいるだろう?」


僕が控えめに首を縦に振ると、彼女は意味深にほほ笑んだ。


「うん、君が割と庶民的でよかったよ。……そのアーティストがもし引退するとする。さぁ、これは君の言う『別れ』のどちらに当たると思う?」

「……そうですね、『形式上の別れ』……いや、この場合……あぁ、そういうことですか」

「うん、そういう事。『形式上の別れ』っていうのは確かにかなりの数の別れが分類されるかもしれないけれど、結局の所それに分類されるのは現実に顔を合わせて話したことのある人だけであって、それ以外に関しては一回繋がりを断ってしまえば『永遠の別れ』ってなってしまうわけさ」


先輩の言っていることは分かる。

確かに、顔を合わせ話をして……そして連絡を取り合う仲でない場合、一度その繋がりを断ってしまえばもう二度と連絡が取れなくなってしまう。

つまりは、僕の言う『永遠の別れ』となってしまう。


この世界、いや僕の住んでいる日本という国だけでも人の数は多い。

それなのに、一般人の一生のうちに会う人の量はそれの足元にすら満たない。

インターネットという家に居ながら世界の人と繋がることが出来るものが普及したものの。

結局それは別れの数を増やしただけであって。

ネットの人の方が現実で会う人よりも『永遠の別れ』の数は多い。

それこそ、先輩が言ったアーティストの引退のように。


「いやはや……なんとも言えない話だろう?」

「いやまぁ、コメントするのに困る話ではありますけど。……なんで突然こんな話を?」

「はは、恥ずかしい話……昨日応援していたアーティストの人達が引退してしまってね。その人達の最後の活動を見ていたらボロボロ泣いてしまってさ。その時に考えたんだよねぇ、この話」

「成程……いや、まぁ。えぇ。確かに分からなくはないですけどね」


話に夢中で準備が進んでいなかった茶会の準備を進め、ハーブティを淹れて先輩へ渡す。

よくよく目元を見ればうっすらと赤く腫れていた。


「先輩もそれだけ好きなアーティストが居たんですね」

「おや、私を何だと思っているのかな」

「連続殺人鬼ですかね」

「間違ってないのが悔しいね」


そんな事を冗談で話しながら、自分用のハーブティを淹れ口につける。

口の中に広がる良い香りが少しだけ心を落ち着かせてくれた。


「でも実際、このご時世好きなアーティストやクリエイターの1人や2人が居ないとねぇ。人生やってられないぜ?」

「その最後には『永遠の別れ』があるとしてもですか?」

「そりゃそうさ。私は泣いてしまったけれど、別に悲しいってだけで泣いてたわけじゃあないからね」

「……引退や去ってしまう人の事を『あぁ、あの人はここが良かったよなぁ』って言うのと同じですか」

「そうだね、笑いながら『こういう人が居たんだよ、凄かったし良い作品を作ってたんだ』って言えるように。『永遠の別れ』がその先にあったとしてもそう言えるように、ね」


そう言いながら笑う彼女は、いつもよりも楽しそうで。


「……そうですね。これから応援するのに良いアーティストって居たりします?カニバル先輩」

「お、じゃあそうだねぇ。私のオススメから教えていこうか魔女後輩」


こうして夜は更けていく。


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