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カニバル先輩と魔女後輩  作者: 柿の種


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15/56

Extra Story 【終わった後で】

Extraなのでいつも以上に短いです。

ep.「終わった後で」


「いやぁ、楽しかったねぇ」

「……いや、先輩。無茶しすぎです。今も足震えてるじゃないですか」


先輩を支えつつ、僕は帰路につく。

今日、いや昨日はクリスマス。

僕と先輩は大学の共通の知り合い、というかどこかの連続殺人鬼ではない普通の方の教授から誘われてクリスマスパーティを大学の研究室で楽しんできた。


といっても、僕は僕で他の先輩方に弄られ続けて気が休まった時間はごくわずかだったのだが。


「何時から食べてないんですか?」

「そりゃ今日ずっとだよ。朝からずっと準備してたからね、食べる暇がなかったんだ」

「……お昼の時に抜け出して食べてくればよかったじゃないですか。先輩、人肉少しでも食べないと極度に弱るんですから」

「あは。まぁ今日は君も居るの分かってたしね、最悪途中で気付いた君が何とかするだろうとは思ってたし……実際こうなっただろう?」


いつもよりも力なく、されどいつも通りの笑顔でそう答える先輩は、言わばエネルギー切れの状態だった。

動力がなければ動かない機械のように。

先輩も、人肉を食べない時間が長ければ長いほど動けなくなっていく。


「はぁ……まぁ確かに、一応人肉混ぜ込んだクッキーは何かがあった時用に持ち歩いてますけどね」

「ありがとうありがとう。いやぁ、やっぱり私も何か持ち歩いた方がいいね。今度何か手軽に持ち歩ける何かのレシピ教えてもらってもいいかい?」

「何がいいですかね。お菓子です?」

「そうだね、お菓子がいい。おやつ感覚で食べられるといいなぁ」


夜道を歩くのには慣れた。

まぁ、色々……今日は慣れない要素もあるのだが。


「じゃあ今度、飴の作り方でも教えますよ。ある程度慣れれば簡単ですしね」

「あ、そうかい?じゃあそれで。……しっかしアレだね、今のこの状態を知り合いに見られたら色々まずそうだよね」

「……いやいやいや。そんなそんな」


今の僕たちは普段着だ。……というか、先輩はあまりいつもと変わらないが僕は違う。

普段彼女と話している時は魔女の制服とも言うべきローブ姿。

しかし、今はモッズコートにジーパンだ。普通の人にしか見えないだろう。

それが少しだけ、まずい。


今の先輩は脱力していて、端から見ればそれこそ泥酔しているように見えるんじゃないだろうか。

そして僕はそんな彼女に肩を貸しながら歩いている。

……お持ち帰りしているようにしか見えない。


「ほら、あそこ。見てみなよ。私たちの方をじっと見てる子がいるぜ?アレ君の友達じゃない?」

「そ、そんな馬鹿な……ッ!」


先輩が力なく指を刺した先、そこには見知った顔があった。

眼鏡をかけた青年……丁度この前先輩に改めて紹介した、人狼の血を引く友人の姿がそこにはあった。

彼は僕の視線に気づくと、慌てたように首を横に振り……何故かこんな時だけ発揮された人狼の血特有の俊敏さをもって走り去っていってしまった。


「……明日、なんて話しかければいいんだろう」

「あは、いざとなったら私も一緒に誤解を解いてあげるから。しっかし、アレが人狼の血を引いてるからこその速度かな?いやぁ、羨ましい」

「先輩の羨ましいはどうせ『あれだけ速度が出せたら、人殺しした後の移動も楽になるだろうな』っていうアレでしょう?」

「そうだよ?はは、それ以外ないだろうに」

「まぁそうでしょうね。単純に速くなりたいとかだったらどんなに良かったものか」


そんな小学生男子のような、場合によっては短距離走などをやっている人達が抱く夢なんてものを彼女が抱くはずがないのは分かっているのだが。


「しかし今年ももう終わりですね……」

「そうだねぇ、特に今年は早かった気がするよ。今まで以上に濃い一年だった。人外の友人も増えたしね」


歩きながら。僕は空を見上げる。


「まだ早いですけど、来年もよろしくお願いしますね。カニバル先輩」

「こちらこそ。来年もよろしく魔女後輩」


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