第4話.眠りについた
今回も1話投稿ですm(_ _)m
設定に間違いがあったため修正しましたm(_ _)m(1/15)
気付けばptを付けて戴いてました。2ptと最低評価ではありますが、付けて戴けるというだけで嬉しく思えます。
改めてこの小説を見返してみると、会話以外のところが一人称視点なのか三人称視点なのか分かりにくく、また、自分の中でちゃんと設定が固まっていなかった事に気付きました。
なので、現在リアルの方でも忙しいというのもあり、暫く更新せずに設定など諸々見直していこうかと思いますm(_ _)m
「お待ち下さい!」
ハンスさんについて王城を出たところで後ろから声が掛かる。振り返ると、さっきの部屋にいた女性騎士を引き連れたルナが、肩で息をしながら走ってきていた。
「ルナ王女、その様に慌てていかがなされた?」
「レオン様、今回はお見苦しいところをお見せして申し訳ありません」
ルナはハンスさんに頭を下げる。ハンスさんはそれを手で制しながら走ってきた用件を問うと、ルナは俺の方に用があるとのことだ。
「ユウトさん、少しで良いのでお話を聞いていただけませんか?」
「俺は構わないけど、ハンスさんは大丈夫ですか?」
「俺も問題ない」
ハンスさんも大丈夫なようなので、ルナに話を促す。ルナ曰く『今回は国王が迷惑を掛けてしまったが、ゲルトン王国と敵対するのはやめてほしい』とのことだ。
「確かに迷惑は被ったが怒ってはいない」
「恐縮です。深くお詫びします」
「ああ、だから謝罪は受け取るし、そちらと敵対する意思はない」
「有難う御座います」
そう言ってもう一度頭を下げる。が、何故か分からないが、一緒に来ていた女性騎士から殺気を感じる。
「何ですか?」
「…」
彼女に何かと問うが、何も返事は返ってこない。
「カミーユ、良いの」
「ですが…」
「仕方のないことよ」
「…出過ぎた真似をいたしました。ルナ様の御心のままに」
女性の名前はカミーユというらしい。
「重ね重ね申し訳ありません。王族である私が、ユウトさんに頭を下げることを快く思っていないみたいなのです」
「ああ、なるほど」
「カミーユ、あなたも」
ルナが促すと、前に出て謝罪をしてくる。
「勇者殿、先程はすまないな。特に肩書はないとはいえあなたは勇者だ。実績がなくとも丁重に扱われるべきなのだろう」
が、それは刺々しく、威圧感が凄い。ルナに対する忠誠心が高いのだろう、俺に対する不快感がビシビシ伝わってくる。
「カミーユ!」
「いや、大丈夫だ」
ルナを制し、カミーユさんに向き直す。忠誠を誓っている主人が頭を下げているのはいい気分じゃないだろう。
「カミーユさんはルナさんをとても大切に思ってらっしゃるんですね」
そう言った途端、カミーユさんから更に殺気が溢れ出す。
「はっ!大切な主人が何処の馬の骨かも分からん輩に頭を下げるのを見る私の気持ちが貴様に分かるか?分かったようなことを言うな」
思ったことを伝えたが、それは逆に怒らせることになってしまった。
「それから、私をその名で呼ぶな。カミーユはルナ様に戴いた大切な名だ。貴様に呼ばれるのは大変不愉快だ」
「では、なんと呼べば?」
「貴様に教える義理はない」
―――あらら、これは取り付く島もないな
「彼女はエヴァ=カミーユ・オブ・ノアイユです」
「エヴァさんですか」
「死にたいのか、貴様」
「ノアイユさん」
「ふん」
ルナもハンスさんもファーストネームで呼ぶように言っていたのでそういうモノかと思ったが違ったようだ。
それから暫くしてルナとノアイユさんに見送られてハンスさんと馬車に乗る。道は石畳で舗装されており、大通りに面した店や物売りは活発に客を呼び込んでいる。活力ある町だ。
向かった先は大きな建物。皮防具を付けたり腰に剣を提げたりしている人々が多く出入りしている。上を見ると看板らしき物があり“冒険者ギルド”と書いてある。見たことない文字のはずだが、何故か読める。これも異世界召喚で勇者になった影響なのだろうか。
「アベンテュラ国に行きたいところではあるが、まだ暫くはここに滞在する予定だ。その間に色々と教える」
そう言って入っていくので後について入ると、ギルド職員と思われる男性が出迎えてくれた。そしてギルドの奥に案内され、応接室に通される。ハンスさんは男性に茶を持ってくるよう頼むと、椅子に座るよう促される。
「それじゃあ、改めて。俺はアベンテュラ国所属、冒険者ギルドゲルトン王都支部、ランクSTのハンス=レオンだ。宜しく頼むぞ」
「異世界から召喚されたばかりの楠木勇人です。宜しくお願いします」
「ああ、分からない事があれば訊いてくれ」
「では早速なんですが、ハンスさんの言っていたランクSTって何ですか?」
自己紹介で言っていたランクST。SやSSなら物語でよく聞く冒険者のランクだが、STは初めて聞いた。
「ランクSTっていうのは、ギルド職員のランクだ」
話によれば、冒険者とは別に職員にもランクがあるらしい。冒険者のランクはE・D・C・B・A・S・SSの順に6段階で上がるのに対し、職員のランクはF・G・H・I・J・T・STの順で上がるようだ。
F : 見習いギルド職員。
G : Fを経て、ギルドの職員採用試験で合格した者。
H : 高ランク冒険者の中から将来ランクTになるに相応しいと判断され、希望した者。冒険者をしながらギルド職員の仕事も学ぶ。
I : Gの中で、昇格試験に合格した者。
J : Iの中で、試験や推薦により選ばれた1人。所謂、副ギルドマスター。一般的な職員ではここが最高ランク。
T : Gの中で、引退した高ランク冒険者。各国の首都以外の冒険者ギルドのマスター。
ST : Gの中で、アベンテュラ国所属の引退した高ランク冒険者。各国の首都の冒険者ギルドのマスター。Sランク以上の冒険者がなる場合がほとんど。
「じゃあ、ハンスさんは高ランク冒険者でもあるんですね」
「ああ、最終的にはSランクで引退したな」
「どうして引退したんですか?」
「主な理由はケガだな。魔物との戦闘中に足をケガしてな」
見た感じ普通に歩けているし、引退するようなケガをしているようには見えない。俺の困惑が伝わったのだろう、ハンスさんが続ける。
「日常生活くらいなら問題ないんだが、流石にもう若くもないし引退することにしたんだ」
「若くない?年はいくつなんですか?」
「あまり細かくは覚えてないんだが、もう60はいってる。そろそろ70くらいだろう」
驚いた。40代くらいかと思ってたんだが、まさかの60代。しかも年齢の割に筋肉量がすごい。まさに筋肉ダルマだ。
その後、他にも色々なことを教えてもらった。
大陸について。現在確認されている大陸は2つ。
一つはエリンテ大陸。中央から北に向かって大きな森が広がっており、北と南に分けられ、北エリンテ、南エリンテと呼ばれる。主に北はエルフとドワーフが、南にはヒューマンが住んでいる。
もう一つはドリンテ大陸。こちらは中央から西寄りに8000m級の山脈が大陸を東西に分断しており、東ドリンテ、西ドリンテと呼ばれる。こちらは東は主に獣人が住んでいる。西はかつてはヒューマン領だったが、今は魔王の支配する領域になっている。
魔王について。魔王の名前はリーリエ・ヴァーサ。性別は女。
魔王には魔女と呼ばれる複数の配下がおり、魔王は勿論のこと魔女も邪属性を持っている。魔女は昔からいたが、600年程前に突如リーリエが現れ、魔女たちを統率して魔王となった。過去に何度か編成した討伐隊は全て魔女によって壊滅させられている。
魔法について。魔法は火、水、風、木、地、空、雷、光、闇、聖、邪の11属性。属性によって異なる神が存在し、持っている属性それぞれの加護が与えられるが、魔女でもない限り、邪属性を持っている者はいない。
火属性 : イグウィスの加護。火の魔法が使える。
水属性 : アクディアの加護。水の魔法が使える。
風属性 : ウェンディアの加護。風の魔法が使える。
木属性 : リグナディアの加護。植物の魔法が使える。
地属性 : テラウィスの加護。土の魔法が使える。
空属性 : スカイディアの加護。空間の魔法が使える。
雷属性 : トニトウィスの加護。雷の魔法が使える。
光属性 : ラディアの加護。光の魔法が使える。
闇属性 : テネウィスの加護。精神の魔法が使える。
聖属性 : サンディアの加護。浄化の魔法が使える。
邪属性 : インピダスの加護。侵食の魔法が使える。
一般的にヒューマンや獣人、ドワーフは3〜5個の属性を持つ。エルフは6個以上で、邪以外全て持っている者もいる。魔力量はエルフ>ヒューマン>ドワーフ>獣人となるが、素の身体能力は逆になる。
「今日は知らない土地に来て、兵士たちを相手に大立ち回りして疲れただろう。今回はこれで終わっるから、明日また来てくれ」
気が付くと、窓の外は赤く染まり、太陽が沈みかけていた。だいぶん話し込んでいたみたいだ。
「晩はここで食っていきな。後、宿はギルドの方でとってある」
夕食後、ハンスさんに宿の位置を教えてもらう。場所はギルドからさほど離れていなかった。ハンスさんに礼を言ってギルドを出ると、そのまま宿に向かう。店主に部屋の鍵を貰い部屋に入ると緊張が解けて体が重くなる。思っていたより疲れているようだ。
「これからどうなるんだか」
今日は常識外れな経験をした。これからどうなることか。ベッドに転がりながら今後の事を不安に思う。
---睡蓮はどうしてるんだろ?
いきなり目の前でいなくなったことを睡蓮はどう思っているのか。そんなことを考えていると、だんだん瞼が降りてくる。俺はそのまま眠気に任せて眠りについた。
小説の題名が良いの思い浮かばないし読む人なんているのかとは思いますが一応…
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