誕生したのであった
こんにちは。
明けましておめでとうございます。
初小説、初投稿です。生暖かい目で見ていただければ幸いですm(_ _)m
多くの生徒が廊下の掲示板の前に群がり、貼り出されている紙を見ている。
1年生学年末テスト 総合順位
1、楠木 勇人(632点)
2、朽木 睡蓮(626点)
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「ぃよっし!!」
と、そこに一人の男子生徒の歓喜の声が上がった。
歓喜の声を上げたのは楠木勇人。今回のテストで一位として貼り出されている生徒だ。
幾人の男子生徒と女子生徒から、「やっとだな!」や「頑張れ!」と励ましの声を掛けられる。
周りの生徒が勇人に道を譲るように人混みが割れ、それが一人の女子生徒の前で続く。彼女の名前は朽木睡蓮。テストで二位だった生徒である。
勇人と睡蓮は家が隣同士で、勇人が幼稚園に上がる前に睡蓮が引っ越して来た。勇人と睡蓮が、また、二人の母親も同い年ということで、自然と2つの家で交流することが増えた。
勇人は睡蓮のところまで近づいていく。
「あちゃ〜、ついに負けちゃったか」
そう言って、睡蓮が戯けたように笑った。
その笑顔を見て、勇人の鼓動がいっそう早くなる。緊張で余裕が無くなり、睡蓮をじっと見つめる。
背中の中程まで伸びた艶のある黒い髪。整っている顔。優しく垂れた目と、黒く澄んでいる瞳。勇人は特にこの優しく綺麗な目が好きだ。
運動で引き締まっている体に、大き過ぎず、かと言って小さくない胸。スラっと長い脚。
それだけじゃない。
誰にだって優しく、周りをよく見ていて、困っている人がいれば声を掛ける。
勉強だってずっと学年1位をキープしてきたし、頭の回転も速い。先生にも頼りにされ、逆に先生から相談されることもあるそうだ。
睡蓮は実家が道場の為、いくつかの武道もしている。剣道、弓道、槍、薙刀、柔道、合気道等々…。他にもあるが、これは道場主である睡蓮の母親の亜里沙の影響だ。
それだけでなく、家にあったからと、独学でピアノや琴も弾ける。
また、長期休暇になると亜里沙の紹介で知り合いの神社で巫女をやっている。この事は勇人しか知らず、ちょっとした自慢だ。
勇人は、これからする事を考えると、顔が赤くなっているのが分かる。
戯けた風に言ってはみたものの、睡蓮もまた、自分の顔が熱くなっていくのを感じる。
勇人は一度深呼吸して、逸る気持ちを幾分か落ち着けた。
そんな彼の真剣な雰囲気が伝わったのだろう、生徒たちが唾を飲み込む。
後は勇人の気持ちを伝えるだけだ。
「睡蓮、あなたが好きです。睡蓮と並んで歩むことが出来ると思ったらもう一度告白すると約束してから6年も経ったけど、この気持ちはあの時からずっと変わらない。俺の、恋人になって下さい」
ゆっくりと、そして落ち着いた声でそう言い切った。
対して、睡蓮は自分の顔が勝手にニヤけてしまうのを隠すために俯き、小さく呟いた。
「やっぱり私にはもったいない人だなぁ…」
ニヤけてしまうのを必死に抑えて顔を上げる。勇人の真剣な表情が目に入り、睡蓮も自分の勇人に対する想いを伝える。
「私も、勇人、あなたが好きです。私で良ければ、恋人にしてください」
そう言って頭を下げる。その瞬間、様子を見守っていた生徒たちから歓声が上がった。
ここに、新たなカップルが誕生したのであった。
最初は短いですが、プロローグが終われば3000文字以上を目指して頑張ります。
ご意見・ご感想がございましたら、宜しくお願い致しますm(_ _)m