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第五幕 第六場

 気がつくとわたしは、庭に大きな木が生えている赤煉瓦の家の前に立っていた。だがしかし、自分がなぜここにいるのか、その理由がよくわかない。だからすぐに悟ることができた。こういうことは、いままで何度も経験してきたからだ。


 わたしはポケットからコインを取り出すと、それを打ちあげる。落ちてきたコインは手のひらの上で制止し、まわりつづけた。


「どうやら夢のなかね」


 ここが夢だと自覚すると、だんだんと記憶がよみがえってくる。わたしはメアリーに取り憑いたレイシー・レイクスに接触するために夢の共有をおこなった。だからここにいるんだ。


 わたしはさっそく家の中へと足を踏み入れた。事前に聞いていたとおりの間取りで、二階へとつづく階段は家の奥にあり、わたしはそこを目指して歩を進める。


 メアリーの夢に登場するレイシーが、主に現れる場所がメアリーの部屋であり、かつて生前のレイシーが自室として使っていた二階の部屋だそうだ。


 わたしは階段にたどり着くと、それをのぼりはじめる。すると何やらうなり声のような物音が聞こえてきた。階段をあがるごとにその音は大きく明瞭になってくる。階段をのぼりきるころには、その物音が多数の人々により、何かを詠唱している声だとわかった。


「……なんなのこの声は?」


 近寄りがたき不気味さを感じるも、声のする方にめざす部屋があるので、しかたなしにわたしはそこへと向かう。近づくにつれ、胸の鼓動が激しくなる。やがて目的の部屋の前にやってきた。詠唱する声は明らかにこの部屋の中から聞こえてくる。


 わたしは何度か深呼吸し、覚悟をきめると部屋のドアを開いた。すると部屋にはぐったりとした様子で椅子にすわるメアリーを中心に、交霊会と思われる人たちが手をつないで円になり、何やら呪文めいたことばを唱えている。どうやらこれはレイシーの魂を降霊させる場面が夢のなかで、再現されているようだ。


 わたしはその異様な光景に圧倒されながらも、なんとか平常心を保ちつつ部屋を見まわして、レイシーらしき人物がいないかどうか探す。写真が残されていなかったため、レイシーの容姿について口頭での説明を受けたが、それに該当するような人物はこの部屋にはいない。


 もう一度あたりを見まわす。すると何やら白いもやらしきものがメアリーの頭上に現れ、それがだんだんと人の形へと変貌していく。わたしはすぐに直感した、あれがレイシーだ、と。


「レイシー・レイクス!」わたしは呼びかけた。「そこにいるなら姿を見せてちょうだい」


 突如として白いもやが、こちらに向かって突進してきた。その白いもやにふれるやいなや、意識がかき乱され、わたしが悲鳴をあげると、あたりは漆黒の闇へと包まれていった……。

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