第四幕 第五場
物体のコントロールをマスターすると、トレーニングは第二段階へと移行する。ビル・グレイ博士いわく、つぎは物質の性質やその状態を変化させるとのことだ。これはスプーン曲げのように本来硬い物質の性質を変化させてやわらかくして曲げたり、物質の状態をべつの状態へと変化させて作り替えたりするらしい。
わたしたちは比較的簡単と言われたスプーン曲げからはじめた。これにはなんのつまずきもなくふたりとも成功する。さらには少し練習しただけで、スプーンをまるでひものように結んだりすることも可能になった。
コツをつかんだわたしたちは、いろんな物質の性質を変化させてみることにした。スプーン曲げとは逆にひもを硬くして一直線にまっすぐのばしたり、テーブルをやわらかくしてトランポリンのように飛び跳ねてみたりした。そのほかにも紙のようなうすっぺらい物質を重くしてみたり、逆に重い物を軽くしたりもした。さらには銀製の食器を金製の食器へと、その性質を変化させることにも成功する。
このようにして物質の性質を変化させることが可能になると、つぎは物質の状態を変化させることになった。はじめは水を凍らせたり、それを逆に溶かしたり、さらには蒸発させ水蒸気にさせたり、その物質が本来持っている性質の状態変化からはじまる。
それができるようになると、こんどはその物質が本来もちえない性質の状態変化へとトレーニングが進んだ。これは水以外の物質を液体化、さらにはふたたび固体化、そして気体化させる。わたしたちは椅子やテーブルなどといった、身のまわりにある家具でそれをためしてみる。最初こそ手こずったものの、すぐにそれが可能となったがひとつ問題があった。それは液体化や気体化させた物質をふたたび固体化したとき、もとの形にならず、まるで粘土をひとかたまりにしたような形で固体化されてしまうことだ。
この問題についてグレイは固体化する際に、もとの形の見えない型があるのを想像し、そこに注ぎ込むようなイメージでやるように、とアドバイスを受けた。さっそくためしてみると、不格好ながらも、もとの物質の形に近づけることができた。何度かの試行錯誤の末、わたしたちはもとの形へと固形化することが可能となった。さらにはそれを応用し、もとの物質とはべつの形へと作り替えることもできるようになる。
さらにトレーニングは進み、これまでやってきたことを複合的に応用することで、木材である木の椅子をスチールへと性質を変化させながら、その形状をまったく別物である棚へと作り替えることも可能となった。
こうしてわたしたちは、夢の世界で物質を自由自在に操れるようになった。




