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マニュアル

プルルルルプルルルル

そんな古めかしい効果音で携帯に電話が掛かってくる。恐る恐る出る。

「も、もひもひ」

「もひもひじゃないよ!今どこいんの!?なんですぐはぐれるの!?」

「ご、ごめん………」

「はぁ……」

携帯越しなのに相手の顔がはっきり想像出来るのは長年の付き合いだからだろう。

「今どこ?」

「でかい水槽の前」

「なんでそこいんのよ………」

「おい、櫻井(さくらい)何してんだ?」

「あっ端間(はたま)君、今あいつ探してんのよ」

「あぁ(たもと)か、あいつまた迷ったのか?」

「そうなんだぁ」

携帯から呆れた声が聞こえるが無視をする。

今話してたのは櫻井(さくらい)茉那(まな)という幼なじみだ。

もう一人は端間(はたま)(しゅん)と言ってこちらも幼なじみである。

そして俺は電話で言われた通り(たもと)と言う。特徴と言えばコミュニケーションが取れないのと少し方向音痴という所ぐらいだと思う。

途中で電話を切られてやる事が無くなってしまったので、目の前にあるきょだいな水槽を眺める。なぜ目の前に水槽があるのかというと、今俺は遠足で水族館に来ている。正確には来てしまっている。

コミュ障な俺に仲のいい友達など居なく、水族館を楽しめる訳もないのに櫻井に無理に連れてこられた。

「おぉ〜い、(とも)~」

「あの櫻井さん?大声で名前呼ぶの止めてくれません?」

「え、いいじゃん、減るもんじゃないし」

「そういう事じゃなくて恥ずかしいから」

「硬い事言うなよ~」

そんなやりとりの後学校の集合時間になったので少し急ぎ足で指定の場所に向かう。

その日の夜に事件は起きた。

「ふぅー疲れた~」

そういってベットに倒れ込む。慣れない場所に行ったせいか凄くぐったりしてしまう。

その時だった。

ピロピロリーン

体がビクッてなってしまった。携帯にメールが来るなんて珍しいから驚いた。とりあえず届いたメールを見てみる。

「送り主は………マニュアル?」

なかなか痛い名前を付けてるなぁと思いながらも書いてある内容を確認する。

「内容ってこのURLだけか?」

凄く怪しい。明らかに詐欺やらのURLじゃないのかと疑う。だが俺は好奇心に駆り立てられそのURLを押してしまう。

押した瞬間画面にノイズが入り携帯の電源が落ちた。

「やっぱりウイルスか何かかよ〜………」

自分でやった事なので仕方ないと諦める。明日携帯ショップ行って直してくれるか聞いてみるか。

特にすることも無かったのでその後は寝る事にした。


翌朝

「ふぁぁ〜」

目が覚めるとすぐに携帯の電源を入れる。昨日壊れたのにつけようとするのはその行動がもう癖みたいになってしまっているからだ。

だが俺の携帯はいつもと同じように電源がついた。

「うおおおお!?ついたああ!?」

「にーちゃんうっさい!」

「す、すんません…………」

妹に凄く怒られた。だがこの喜びを我慢するのは無理な話だ。壊れたと思ったものが直っていたのだから。しかもいつも使っている携帯もといスマートフォンがだ。上がるしかないと思う。

「…………ん?何か知らないアプリがある…」

そこには昨日無かった謎のアプリがダウンロードされていた。題名も無くアイコンも真っ白のアプリ。とてつもなく怪しいが気になるのでアプリを開いてみる。そうすると

「オハヨウゴザイマス!」

「うわあああ!?」

凄い驚いた。いきなり朝の挨拶とか俺じゃ無かったら素で挨拶し返してるぞ。

「アナタハ''(とも)''サンデスネ?」

「あ、は、はい」

「デスヨネ。ソレデハイロイロセツメイヲ」

「え、何この展開」

「ワタシノナマエハ''マニュアル''トイイマス」

「え、それって昨日のメールの……」

「アナタニ''人生マニュアル''ヲトドケニキマシタ」

「は?」

色々と知らない単語が出てきてしまっているので頭が混乱している。説明が少なすぎる。もう少し聞きたいと思ったが

「ソレデハ」

「おいおいおい!説明しろよ!」

「ノチニシマスノデアンシンシテクダサイ」

そう言ってマニュアルという無機質な声が消えた。

「な、何だったんだ………」

ここで悩んでても仕方がないので一旦忘れることにした。今日は金曜日だ。学校がまだあるので登校しないといけない。遅刻だけはしたくない。

さっきのアプリが何か分からないがそれは置いておいてとりあえず学校に向かう準備をする(とも)であった。


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