93 誰かがクレーターにしてくれた
僕達は唖然とするしか無かった。
村が突然消失したのだ。
「酷い。」
パメラがそう呟いた。
「神魔砲だ。
フェイベル王国の神の遺跡から撃ってきたんだ。」
僕そうみんなに言った。
「神魔砲?」
ジキルが疑問を口にする。
神魔砲についてジキル達に詳しく説明していなかった。
僕はそれがどういうものなのかを話した。
「神魔砲については分かったわ。
でも何故こんな所に撃ってきたの?
意味が分からないわ。」
パメラが言う。
「たぶん実験だよ。
命中精度と射程距離を試したかったんだと思う。
そして自国の領土から離れた位置を狙うことによって、攻撃したことを誤魔化すことも出来る。
神魔砲について知っている人間じゃ無ければ、何が起こったかなんて想像も出来ないよ。」
僕はそうみんなに言った。
ジキルは悲しそうな顔をしていた。
僕は村の事を思い出していた。
出産に立ち会ったのだ。
赤ん坊のぬくもりも覚えている。
それが一瞬のうちに全て無くなったのだ。
おそらく今回の件にはクルデウス師匠も絡んでいるだろう。
師匠から刻限と言い渡された五ヶ月の内、まだ一ヶ月も経っていない。
もしかしたら僕は嘘を教えられた可能性がある。
僕は自分の心が冷えていくのを感じていた。
この状況では生存者はいないだろう。
ならば先を急がなければならない。
僕達が進もうとしたその時、空から大きな鳥のようなものが飛来した。
あれは飛龍だ。
本で存在は知っていたのだけれど、見たのは初めてだ。
しかもその飛龍には人が乗っているようだ。
飛龍がクレーター近くに降り立つ。
そして人が二人降りてきた。
僕達は警戒し、武器に手をかけた。
降りてきた二人は二十歳前後の男女だった。
二人は僕達を気にとめようとせず話し出す。
「くそ、間に合わなかった。」
帝国の民族服を着た男が言う。
黄色を配色した上質な服だ。
貴族だろうか。
武器は持っていなさそうだ。
「どうやら脅しにとどめておくという状況では無くなったようですね。」
女の方も僕達のことを気にしていない。
彼女は軽装の鎧と腰に剣を下げている。
「あの糞ジイイ。
あの手この手と邪魔してきやがるが、今回のはさすがに酷すぎるぞ。」
「ここはもう・・・。
カーランド王国の件もあります。
いったん戻りましょう。」
二人だけで勝手に話が進む。
僕達は完全に無視されていた。
しかし僕は男の方を見て違和感を感じていた。
和が違うと言ってしまうと語弊になるような感じだが、明らかに日本人顔をしている。
そして見覚えがある。
「啓介?!」
僕は男に向かってそう叫んだ。
もしや知人無双か。




