85 粗末な顛末
色々事件が起こりすぎた。
状況を整理しよう。
ここはオブリエン帝国のエンプティモの街。
エリッセン大聖堂に試しの剣を抜くためにやってきた。
しかしエンプティモの街は、魔物の襲撃を受けて大変なことに。
大量に押し寄せる魔物達に敗北寸前まで追い詰められる。
神鳥フローリアに乗ったオルドウルという魔術師が賢者の杖を引っさげて登場。
魔物達を街の外へ追い出したが、本人はあっという間に即死。
賢者の杖ゲット。
コントロールを失って暴れる魔法の効かない神鳥フローリアを手榴弾でなんとか倒す。
何故か動きを止める死霊系の魔物達。
残ったオークやゴブリンを次々に倒していく僕の幼なじみジキルとパメラ。
そして合流。
こんなところか。
今回、街の被害はかなりのものだった。
最初の襲撃で、民間人にもかなりの被害が出た。
怪我人はテントが張られた広場に集められ、集中的に治療を受けている。
僕も魔法で治療に加わりたかったけれど、既に魔力切れを起こしていた。
メリクル神父も魔力切れで回復魔法は使用不能になっている。
しかし彼は医療品を使った治療にも長けているので、広場で治療に協力している。
今僕がいるのは怪我人が収容されている場所とは少し離れた広場だ。
ここでは炊き出しが行われている。
そして今、炊き出しを受け取って食べているところだ。
炊き出しはスープとパンが配られた。
何か懐かしさを感じるけれど、希望の家より遙かにまともだった。
僕の周りにいるのはリプリア、エリッタ、ジキル、パメラ、リーフの五人。
ちなみにリーフは修道女だ。
クエルク自治領の教会から指示を受けて、ジキルとパメラに同行することになったという。
「ははは、お互いすごいことになってるよね。」
ジキルが笑う。
「まさか、こんなところでオキスに合うとは思わなかったわ。
二年経つのよね。
もっと長いこと会っていないような気がするね。」
パメラも再開を懐かしんだ。
「二年。
色々なことがあって、あっという間だった。
偶然・・・で片付けていいものかどうか。
ジキルの目的も試しの剣だったわけだし。」
僕は懐かしさと同時に、運命的な物を感じていた。
運命、いや、意図的に誰かがそうし向けているような。
「それにルディンまで。
これを食べていると、まるで希望の家に戻ったみたいだね。」
ジキルが目に涙をためて、賢者の杖を見つめる。
元々ジキル達が強くなろうとしたのは賢者の杖、つまりルディンを取り戻すためだ。
『希望の家、楽しかったなあ。』
ルディンはそう言ったけれど、あの極貧生活。
はたして楽しかったのだろうか?
過ぎてしまえば良い思い出・・なのかもしれない。
ルディンの声は残念ながら僕とシーリにしか聞こえない。
僕はルディンの言葉を二人に伝えた。
そして今回の件について情報交換をした。
ジキル達の行動を含めた流れは以下のようになる。
今回の魔物達の襲撃は、やはり魔族が絡んでいるらしい。
事前に襲撃の情報がもたらされていて、帝国は街に戦力を集めている最中だったようだ。
しかし予想外に早い奇襲を受け、あっという間に門を破壊され、魔物が街に流れ込んできた。
さらに序盤には、召喚された悪魔がおり、凄まじい強さだったという。
一気に街の中央まで突破されるかという所を、ジキルとパメラのパーティーが介入する。
激しい戦いの末、悪魔の討伐に成功。
ジキル達は事態を打開するため、死霊系の魔物を操っている術者を倒しに魔物達を突破して街の外へ遠征に出かける。
その勢いに乗って兵士達は西門周辺まで魔物達を押し返す。
しかし無尽蔵に押し寄せる死霊系の魔物により膠着状態に陥る。
そこへ僕達が参戦。
そして魔物の別働隊であるゴブリンとオークが投入される。
神鳥フローリア登場。
一方ジキル達は 魔物達を突破してとうとう敵の首魁にたどり着く。
そして死霊を操っていた術者を討伐。
同じくして僕は神鳥フローリア討伐。
術者討伐の影響で死霊系の魔物の動きが停止。
僕が必死に倒した神鳥フローリアの件が蛇足に見えて仕方が無い。
あれはいったい何だったんだ?
無双MVPはジキル達だった。




