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魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された  作者: 空雲
4章 神の雷光と裏切りの花
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82 向こうの方は魔法が無効らしい

 神鳥から転げ落ちた学者風の男は動かない。

 ・・・たぶん死んだ。


 まさかとは思うのだけど、ブリゲアンが賢者の杖を渡した相手って今の人?

 突然巨大な鳥に乗ってやってきて、頭に矢を受けてアッサリと死んだよね?

 神の遺跡の封印解除に必要なのって今死んだ人?


「・・・」


 ヤバい、思考が停止しそうになった。

 まずは目前の事態の対処が先決だ。


 神鳥フローリアが魔物達を押し返してくれた。

 これで事態が改善したかと思われたけれど、何故か状況が悪化した。

 操者が死んだため、無秩序に神鳥が暴れ出したからだ。


 味方のはずの冒険者達を吹き飛ばす神鳥。

 さらにクチバシで兵士をつまみそのまま潰す。

 したたり落ちる血。

 神鳥どころか悪魔と化していた。


 僕は神鳥の足下に落ちている賢者の杖を拾うため、魔導力を最大まで発動させる。


「オキス様、危険です。」


 リプリアが警告するが、この状況を打破するためにはあれしか無い。

 僕は魔導力と風の魔法剣の相乗効果で超加速する。


 間抜けな男の横に落ちている賢者の杖、ジェットコースターのように加速しつつ右手を伸ばし・・・そしてつかみ取った。


「やった。」


 僕は賢者の杖の回収に成功した。

 しかし加速した体はそのまま、真っ直ぐ突き抜けていく。

 停止しようと体をひねった物の、地面に転げ回る結果となった。

 体の感覚を失う。


 そんな僕を救出するため、リプリアが神鳥に攻撃を加える。

 しかし突然光を失う魔法剣。

 雷の力が発揮できず、神鳥にダメージは無い。

 逆にリプリアの体が吹き飛ばされる。

 リプリアの魔力切れか?


 後方からエリッタが援護に出てくる。

 鉄串を神鳥に放ち・・・命中。


「ぐぇぇぇ。」


 声を上げる神鳥。

 エリッタの攻撃は効いているようだが、致命傷には至らない。


「アタイが時間を稼ぐから、今のうちに体制を整えろ。」


 エリッタの鉄串攻撃は微妙なダメージを与えているようだけれど、このままだと厳しい。


 僕に少しずつやってくる痛み。

 感覚が戻ってくる。

 僕は右手を確認する。

 掴んでいる、賢者の杖は手の中にあった。

 僕はすぐに賢者の杖とリンクする。


「ルディン、待たせたね。」


 賢者の杖の力を借りた風魔法を発動させ、自分の体を飛ばし神鳥から距離をとる。

 エリッタも攻撃がそれほど効いていないことを悟ると、距離を大きくとった。

 リプリアの状況を確認すると、既に立ち上がって体勢を整えていた。

 彼女の魔法剣には光が戻っていた。


 僕は強力な炎の魔術回路を編む。


『オキス兄ちゃん待って。』


 ルディンが僕に話しかけてくる。


『神鳥に魔法は効かない。

 賢者の杖の力でもたぶん無理だよ。』


 ルディンはそう言った。

 しかし僕は完成した魔法を神鳥に向かってたたき込む。

 地面を溶かしながら進む白い火球。

 凄まじい熱量の炎が神鳥を消滅させるかに見えた。

 しかし消えたのは炎の方だった。


「冗談・・・。」


 僕は言葉を失った。







 神鳥は魔法無効無双だったらしい。


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