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魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された  作者: 空雲
4章 神の雷光と裏切りの花
81/263

81 登場と退場

 じりじりと数を減らしながら後退する冒険者の遊撃部隊。

 乱れる兵士達の包囲網。

 飛び交う怒号と断末魔の悲鳴。

 味方の陣は大混乱に陥っていた。


 ゾンビや骸骨剣士だけならなんとかなる。

 的確に頭部を潰していけば勝てない敵では無い。

 しかし完全武装のオークは簡単にはいかない。

 死霊系の魔物と違って知能があり、的確に弱点を突いてくる。

 そして強い。

 一対一なら冒険者達も負けてはいないが、死霊系の魔物も同時に押し寄せてくる中、圧倒的な物量で押されていく。

 さらにゴブリン達の射手の援護が効いている。


 善戦しているのはリプリアぐらいだ。

 僕は目立ちすぎたためか、ゴブリンの弓に狙い撃ちされてしまい身動きがとれない。

 さらにオークが僕に向かって追撃をかけてくる。

 魔力残量も半分を切った。

 さすがにマズい。


「オキス様、わたくしの魔力も残り少なくなってきました。

 撤退を進言します。」


 リプリアから悪い報告が入った。

 魔力消費を抑えて戦っていたリプリアだが、僕より魔力総量が劣るらしくそろそろガス欠らしい。

 僕達が抜けたら間違いなく負ける。

 いや、どちらにせよ時間の問題だろう。

 残念ながら撤退するしか無い。


 ところが、状況が一変する事態が訪れる。

 目の前に光り輝く巨大な鳥が現れたのだ。


「なんだあれは?」


 じり貧になっていた冒険者や兵士達がつぶやく。

 次の瞬間、なだれ込んできていた魔物達が風圧で吹き飛ばされていく。

 巨大な鳥が鳴く。


「ははは、どうだね神鳥フローリアの力は!」


 巨大な鳥の上に人の姿があった。

 二十代中盤の学者風の男だった。


「さあ、一気に魔物共を追い払うぞ。」


 学者風の男は杖を振るう。

 魔物達の中心で爆発が起こる。


「賢者の杖!」


 僕は叫んでいた。

 ついに賢者の杖を見つけたのだ。


 賢者の杖を持った男は、巨大な鳥を前に進める。

 鳥が大きく羽を広げると次の瞬間、再び暴風が吹き荒れる。

 乱される魔物達の隊列。

 好機とみた帝国兵は包囲陣を解いて一気に突入をかける。

 戦意を失いかけていた冒険者達も息を吹き返す。


 この状況を見て一目散に撤退を始めたのはゴブリン達だった。

 オークも攻撃を受けながら後退していく。

 ついに街の外まで押し返すことが出来た。


 学者風の男はさらに神鳥フローリアと呼んだ鳥を前に進めていく。


「造作も無い。

 私の方程式に狂いは無いのだよ。

 はははは、がっぁぁ。」


 神鳥フローリアが魔物達を追撃するため街の外に出た時それは起こった。

 学者風の男の頭に矢が刺さったのだ。


「え?」


 敵味方問わず、そこにいた者が同時にそう呟いた。

 ゴブリンの放った矢があっさりと命中したのだ。

 神鳥から転げ落ちる学者風の男。

 僕もあまりの出来事に言葉を失った。


 あの人、馬鹿ですか?

 無防備に矢面に立てば、そりゃ当たるよ。


 そして神鳥フローリアの暴走が始まった。







 神鳥無双に失敗したらしい。


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