表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/263

8 体が重いと思います

 記憶に間違いが無ければ僕は魔王の息子に産まれたはずだ。

 今いるところ?

 孤児院だよ。

 確かに魔王が倒された時点で僕には親がいない。

 そう考えると孤児院にいるのは妥当といえなくも無い。


 爺は父親に関しては何も教えてくれなかった。

 魔王種は他種族と交配することで子孫を残す。

 だから両親が二人とも魔王種である必要は無いのだ。

 ただし子を宿しても、生まれる可能性は非常に低い。

 母胎できちんと育つには、なにかしらの条件があるらしい。

 強力な力を持つ種族でありながら個体数が少ないのは、出生率の低さが影響している。


 ここに来てようやく落ち着いたので、色々考える時間が出来た。

 爺やセフリのことは心配していない。

 きっと無事であろうと根拠の無い確信をしている。


 砦の兵士や孤児院へ移動する際に集めた情報を元に、ここで状況をまとめてみることにする。


 エイデ砦で保護された後、身寄りが無い僕はこの孤児院に連れてこられた。

 ここはオブリエン帝国から飛び地に当たる、クエルク自治領の辺境にある町デイボン。

 砦からは山一つ離れている。

 馬車で送ってもらったのだが、けっこうな距離だった。

 ちなみに魔領からは、「それなに美味しいの?」といわれるぐらい離れている。

 ここに住んでいる人間には、魔領はおとぎ話の怖い場所と同等な感覚らしい。


 転移先はエイデ砦の近くに作られた宿場町だった。

 昔、砦に物資を納入していた商人がキャンプ場所としていた場所が、いつの間にか発展して宿場町となった場所だ。

 宿場町は砦の外にあるので防衛機能は全くない。

 そこに隣国であるとのドラグラス公国との戦闘が起こったのだ。

 そんなところに宿場町がある時点で間抜けな話に思えるかもしれないが、隣国との武力衝突など百年以上無かったらしい。

 両国ともオブリエン帝国傘下だったため、基本的に武力衝突する理由が無かったのだ。


 運悪く、ばっちりなタイミングで転移してしまった。

 戦闘の結果は、クエルク自治領が砦の防衛に成功し隣国は撤退。

 僕はクエルク自治領側に保護された。

 両国とも兵にはほとんど被害は出ていないらしい。

 割を食ったのは民間人ばかりだ。


 隣国が突然攻めてきた理由を僕は把握していない。

 分かっているのは、人間の国最大のオブリエン帝国の情勢が不安定になり、周辺諸国のパワーバランスが崩壊しているということだ。

 たしか、うちの母が首都を陥落させたんだっけ。

 もしかして不幸続きなのは親のせいだったのか。


 魔領から人間の国に来てから、相変わらず体に重い感覚が残っている。

 どうやら魔素が少ないのが原因のようだ。

 魔族が領土を広げるためにせっせとテラフォーミングを行う理由がこれだ。

 とはいっても、爺から聞いていたほど影響は受けていないように感じる。

 持久力が少し落ちたのと、魔力の回復が遅くなったぐらいのようだ。


 魔領から離れているおかげで、魔王種をだれも知らない。

 身バレの心配が薄いのは幸いだ。

 爺はそれを見越して僕をここに送ったんだろう。

 力をつけたら魔領に帰るのを目標にしようと思う。

 全てにおいて未解決ですっきりしない謎が多すぎる。




 群雄割拠の建国無双とか出来るといいな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ