69 公園で後援される
「格別のご厚意、歓喜の念に堪えません。
しかしながら愚見を申しますと、陛下の御為に働くには力不足。
経験を積まねばならないと自覚しております。」
「世のために働くのはまだ早いか。
それもよかろう。
これはあくまで助言だと思って聞くがよい。
帝国に渡るのは時期が悪い。
ここだけの話、これから混乱が起こるは確実なのだ。
無理に止め立てはせぬ。
が、余が其方の身を案じていたということは気に止めておいて欲しい。
もし何かあれば、王国に連なる者に保護を求めるがよい。」
僕は礼を言い、謁見の間を後にした。
クルデウス師匠が待っていた。
「やはり断ってきたのだな。」
「はい、すみません。」
「良い、良い。
ヌシが帝国に渡れるようこれからのことを詰めなければならんの。」
「はい、よろしくお願いします。」
「ところでオキスよ。」
「はい。」
「ヌシの周りに五月蠅く飛んでおる者に、あまり調子に乗らぬよう言っておくのじゃ。
今回の件も、元を正せば奴のせいだからの。」
もしかして、もしかしなくても・・・ブリゲアンのことかぁぁぁ?
「では、戻るとしよう。」
え、お咎め無し?
泳がされてるの?
王国の諜報部隊ってどうなってるの?
何もかもが信じられなくなってくる。
こうして僕の帝国行きの件が進められることになった。
僕は教官にも報告を行った。
僕よりも先にエランが来ていたようで、すでにだいたいのことは知っているようだった。
教官は大活躍だったとか、よく生き残ったとか色々褒めてくれた。
そして帝国へ行く前までにミッチリしごいてやるという一言も忘れなかった。
僕はこの日オフとなったので、公園へ散歩に出かけた。
ベンチに腰掛ける。
僕は諜報員とかに監視されているのかなとか、そんなことを考えた。
「こんにちは、オキスさま。
わたくし、リプリアと申します。」
突然話しかけられた。
見た目は十五歳前後の少女、冒険者風だがエリッタより綺麗にしている感じだ。
「ええと、あなたは?」
「あなたのファンです。
冒険者ギルドでは、大変な噂になっていますよ。
こちら、ご一緒してよろしいですか?」
「ええ、構いませんけど。」
隣に座るやいなや、両手を掴まれた。
「感激です!」
大きな声を出すリプリア。
そして次に出てきた声は、さっきとは全く異なるトーンの小さな声だった。
「ブリゲアンからオキス様のことを承っております。
よろしくお願いします。」
一瞬そうささやいた。
そしてすぐ元のトーンに戻る。
「わたくしをぜひオキス様のパーティーに加えてください。
必ずお役に立ちます!」
監視を警戒してのことだろう。
「いきなりだね。
ええと、何が得意なの?」
僕は不自然にならないように会話を続ける。
「わたくしはオールラウンダーです。
前衛・中衛・後衛、全てに対応できます。
剣も魔法も使えます。」
ブリゲアンがとんでもない連絡係を寄越してきた。
僕が口を開こうとすると、
「オキス、何だよその女。」
このタイミングでエリッタ。
修羅場みたいに見えるから、その登場のしかたはやめて欲しい。
「僕とパーティーを組みたいらしいです。」
この場合、この答えが一番無難だろう。
「そんな女が役に立つのか?」
エリッタがリプリアを睨む。
「お試しになりますか?」
おい、そういう応じ方をするなリプリア。
睨むエリッタ、表情を変えずに受け止めるリプリア。
スパーク・・・スパークエフェクトが見える。
公園で大立ち回りが始まろうとしていた。
言っておくけど、僕にハーレム無双は無いよ?




