59 岩の感じの違和感
次の洞窟へ到着した。
僕は魔力探知をかける。
「ここは反応が無いですね。
別の場所を探した方が良さそうです。」
「そうか、じゃあ次へ行こう。」
エランが答えた。
地図を見ると、次の場所まで多少の距離がある。
「ねえ、こっちの道を行った方が近そうだよ。」
エリッタが指さした先には、地図には載っていない獣道があった。
「どうします?」
僕がエランに確認する。
「少し行って辺りを確認しよう。
駄目そうなら無理をせず引き返すぞ。」
「分かりました。」
僕は獣道のポイントを地図に書き込む。
ショートカットルートを発見したら、情報を売れたりするのかな。
僕達は獣道を進む。
時々蜘蛛の巣に引っかかったりするけれど、道は途切れること無く続いていた。
「あれ、あんな所に大きな穴があるよ。」
茂みの奥にぽっかり空いた大きな穴があった。
中から濃いめの瘴気が吹き出ている。
「地図には載ってませんね。
一応魔力感知をしてみますね。」
僕は穴の中に向かって魔力感知をかけた。
今までよりもノイズが酷いけれど、魔晶石の反応も大きかったので見逃さずに済んだ。
「かなり強い反応があります。
地図に載っていないだけあって、まだ手が付けられていないのかもしれません。」
「そうか、そうなると慎重に行かないとな。
俺が先に行って、中の様子を確認してくる。」
そう言うとエランが洞窟の中に入っていった。
「ヨッシャー、お宝お宝。」
エリッタは小躍りしている。
「気をつけて。」
僕はエランを見送った。
コツコツという足跡が外に響いてくる。
しばらく洞窟の入り口と睨めっこをした。
「よし、問題ない。
入ってきて大丈夫だ。」
中からエランの声が響いてきた。
「オキス、いくよ。」
エリッタが一目散に大穴に突入した。
僕も後を追いかける。
奥へ進むと、エランが落ちている石を確認していた。
「素人目にも分かるほど純度の高い魔晶石だ。」
エランが石の一つを渡してきた。
確認してみると、確かにすごい純度だ。
辺りを見回すと、同じようなものがいくつも落ちていた。
「これは・・・。」
僕は言葉に詰まった。
「すごい、大儲けだよ。」
エリッタは踊りっぱなしだ。
「とりあえず、持って帰れる分だけ確保しよう。
あまり欲張るなよ。
後から村で人を雇って運んだ方が良い。」
一人冷静なエラン。
僕は辺りを見回す。
洞窟の所々に地下水が流れ込んでおり、池のようになっている場所があった。
そしてあることに気がついた。
「この洞窟、何かおかしいですね。」
「どういうことだ?」
「岩肌が鋭利すぎるんですよ。
少なくとも水が流れているところは、長い年月を経ると削れて丸くなるはずです。
考えられることは単に水脈の流れが変わったのか・・・。
それとも最近出来たからか。」
「こんな大きな洞窟が最近ぱっと出来たってことか?
考えにくいな。
それなら水脈のせいだろう。」
「入り口が大きい割に地図にも載っていないし、ちょっと引っかかるんですよ。」
「いつ出来たかなんてそんなに重要?
お宝が沢山手に入るんだからそれでいいじゃん。」
僕は違和感を感じつつも、持てる量の魔晶石を厳選しつつ拾い集めた。
成金無双か?




