表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された  作者: 空雲
3章 冒険の始まりと動き出す王国
58/263

58 ベアーだべあ

 洞窟に入る前に一つやっておくことがある。


「洞窟に入る前に魔力感知をしてみます。

 特に反応が無かったら別の場所を探しましょう。」


「へえ、そんなことも出来るんだ。

 で、どうなの?」


 エリッタが結論を聞いてくる。


「ちょっと待ってください。

 集中しないといけないので。」


 さすがにそんなにすぐには無理だ。

 僕は洞窟の中に向けて魔力感知を発動させる。

 修行でやっていたときと違いノイズが多い。

 至る所で細かい魔力の反応がある。

 その中で密度の大きい物を探す。


「ありました。

 数は少なそうですが。

 とりあえず行ってみましょう。」


 僕達は洞窟の奥へ進んだ。

 この洞窟はそれほど大きくは無い。

 しばらく進んでいくと、感知に反応があった場所に達した。

 その周囲を探してみると、ピー玉程度の大きさの魔晶石が3つ見つかった。


 僕は魔晶石の魔力を測ってみる。


「高純度かどうか微妙なラインですね。」


 残念ながらそれほど上質では無かった。


「だが、魔力感知のおかげで簡単に見つかったな。

 この調子で次へいこう。」


「楽ちんだね。」


 魔力感知が無いと、魔晶石を探す作業はなかなか大変なのだという。

 師匠に感謝しておこう。


 地図に書いてある次の洞窟を目指す途中に巨大な熊を見つけた。

 大きさは3メートルほどある。


「あいつはグラベアだ。

 熊が瘴気で巨大化した魔物だ。

 出来ればやり過ごしたいところなんだが。」


 僕達はいったん茂みに隠れる。

 グラベアは僕達の気配を感じたのか、ひたすら臭いをかぎ回っている。

 そして少しずつこちらに近づいてきている。


「これはやっちまった方が早いね。」


 エリッタが鉄串を構える。


「ああ、やるか。

 俺が出る、準備は良いか?」


 エランは大剣に手をかけた。


「大丈夫です。」


 僕が応じる。


「オッケー、いつでも良いよ。」


 エリッタは横方向へ移動した。

 エランが大剣を抜きグラベアの方へ進む。

 僕は火炎球の魔術構成を編み始めた。


 グラベアはエランに気がつき突進する。

 エランは大剣で牽制しつつ、少し距離をとる。

 突進に失敗したグラベアは立ち上がり腕を上げた。

 エランに爪を振り下ろす・・・。


「グギィィ」


 グラベアが痛みで叫び声を上げた。

 爪を振り下ろしきる前にグラベアの肩に、エリッタの鉄串が突き刺さったのだ。

 間を置かず次の瞬間、グラベアの足の付け根に大剣が振るわれた。

 グラベアは体勢を崩した。

 エランはそのまま後ろへ回り込み距離をとる。


 僕は火炎球の魔法を放つ、そしてグラベアに吸い込まれるように接触した。

 プシュッという若干情けない音がして、グラベアが炎に包まれる。

 爆裂型では無いのでエフェクトがイマイチだ。

 僕は次の魔術構成に入る。


 グラベアは炎に包まれ、その場で暴れ出した。

 後ろに回り込んでいたエランが背中に大剣を打ち込む。

 グラベアの腹に大剣が生えた。

 そこにエリッタの鉄串が打ち込まれていく。


 エランがグラベアに足をかけ、大剣を思いっきり引き抜き距離をとる。

 血を吹き出すグラベア。

 それから少し時間をかけたが、僕が爆撃球を打ち込む。

 爆撃球は火炎球より威力が高いのだけれど、そのぶん魔術回路を編むのに時間がかかる。

 爆撃球はグラベアの頭に命中し、大きな爆発音が発生した。

 頭の肉片が周囲に飛び散る。

 ちょっとしたスプラッターだ。


 グラベアは倒れた。

 少しの間だけ痙攣を起こしていたが、今は完全に動かない。


「やったな。

 オキス、初陣にしては見事なタイミングだった。」


 エランがグラベアの状態を確認しつつ言う。


「けっこう緊張しましたよ。」


 緊張のせいだろう、喉がからからになっている。


「アタイの出番がもう少しあるかと思ったのに、アッサリだったね。」


 エリッタはいつも通りな感じで平然としていた。

 そういう気質なのか、経験によるものなのか。

 鉄串がなかなか抜けないのか、うんうんうなりながら回収していたけれど。


「グラベアがいるという話は村では言っていなかったな。

 注意していくぞ。」


 エランが注意を促す。

 僕達は他の魔物がいないか警戒し、少し休憩を取ってから次の洞窟へ向かうことにした。






 パーティー無双だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ