49 事後の話と地獄の話
テイラン先輩とブラニカさんはブレンマイカの街へ旅だった。
エイニアさんとジェイソン所長の遺体は防腐処理を施した後に棺に入れられ、一緒に運ばれていった。
向こうの街で墓を作り、一緒に埋葬するとのことだ。
二人が旅立つ前、僕はブラニカさんに声をかけられた。
「オキス、あなたのおかげで色々知ることが出来た。
ジェイソン所長・・・父のことを。
私はずっと父のことを恨んできた。
でも父はずっと私と母のことを思っていてくれたのね。」
そういうと真っ黒に焦げた石を取り出した。
事後処理の後、この石はブラニカさん返却されたのだ。
「この石がその証だった。
あなたがいなければ、永遠に父を恨み続けていたわ。
そんなことにならずに済んだのは、あなたが教えてくれたから。
本当にありがとう。」
涙ぐみながら僕にお礼を言った。
果たして幸運の石の効果はあったのだろうか?
そして今後、彼女に幸運をもたらすのだろうか?
そして先輩が言う。
「ブラニカを救ってくれてありがとう。
あの時、正直なところ君なら何とかしてくれるんじゃないかと期待していたんだ。
やってくれたな。
ブレンマイカの街に行っても、いずれ君の名を耳にすることになるだろう。
楽しみにしているよ。」
なにか期待されている。
名前が知られる前に師匠に抹殺されていないことを祈るばかりだ。
こうしてジェイソン所長の事件は終幕した。
それ以外の件についてはクルデウス師匠が各部署に指示を出して捜査を進めている。
その関係で大学内部の不正が明らかになったり、魔族に内通していた人物が拘束されたりした。
その辺りに僕が絡むことは無かった。
僕は何をしているのかというと、今は地獄にいる。
師匠が、
「弟子には色々教えねばいかんのう。」
と言いつつ、嬉しそうに修行メニューを作った。
ニコニコしながら出してきたのは地獄の入場券だった。
今までの弟子は、どちらかというと魔法ではなく魔具優先だったのだ。
まともに魔法を教えることが出来るのが嬉しくて仕方が無いらしい。
徹底的に魔術回路を覚え込ませ、魔力が尽きるギリギリまで実技指導が行われた。
それを何とかこなす。
「ほう、想像以上に魔力の回復が早いの。
これは内容を見直さねば。」
より地獄の階層が深くなった。
地獄での生活はカイテキですよ。
「いやあ、ヌシは人間離れしておるの。
かつての弟子達であればとっくにくたばっておる。
ふぉっふぉっふぉっふぉ。」
ふぉっふぉっふぉじゃない、殺すつもりか!
地獄の修行のおかげで、魔術回路のアクションステージが使えるようになった。
展開した魔法をかなりの精度で動かすことが出来る。
拳大の炎をそこそこな速度で打ち出すことが可能になった。
小さい炎であればデュプリケートステージも使える。
複数の同時展開だ。
得意属性による専用関数では無いので、炎以外の属性に切り替えることも可能だ。
地獄の修行に慣れてきたところで師匠がこう言った。
「さて、ヌシにはこれから色々と動いてもらいたいのでな。
魔法だけでは無く、体術も必要であろう。」
修行が始まって半年、僕はもうすぐ七歳になる。
僕の地獄は始まったばかりだ!
地獄生活無双中。




