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4 侵攻が進行していたらしい

 僕がなぜ山暮らしをしているのか?

 僕も聞きたい。

 一応、倒されたとはいえ魔王の息子なのだから、もう少しマシな落ち延び先はないのだろうか?

 爺に聞いたことがあるが、安全のためとしか答えてもらえない。

 それどころか未だに母が殺されたであろう日に何があったのかも話してはくれない。


「オキス様が大きくなり、力をつけた時にすべてをお話ししますじゃ。」


 爺はそうとしか言わない。

 魔領には6つの魔族が治める地域がある。

 あの日の出来事があった宮殿は魔王の直轄地ではなく、配下の魔族が治める避暑地的な場所だったらしい。

 激しい戦いがあったのは確かなのだが、その後、いったいどういう状況なのかは教えてもらえない。

 魔領全体が人間に敗北したわけではなさそうだ。

 しかしこの暮らしは他の魔族から隠れているようにしか思えない。


 いくつか可能性は想像できる。

 真っ先に思いつくのは、後継者争いで命を狙われている可能性だ。

 これが真相だとすると、僕に事情を話さないのは不可解だ。

 爺の態度の見ると、なにか違うワケがありそうな気がしてならない。


 そういえば記憶に残る母は頭に山羊のような角を生やしていた。

 僕にはない。

 予想その二で実は魔王の子供ではなく、ただの人間の子供でしたというのも考えた。

 しかし、子供のうちから魔力が高く、精神系魔法が使える時点で可能性は低そうだ。

 結局のところ爺に真相を話してもらわないかぎり、正解にたどり着く材料が無いままだ。


 今日の日課の食料集めが終わったので爺の授業を受けに行く。

 魔法だけでなく、言語と文字の勉強もしている。

 魔族の公用語の他に、何故か人間の公用語も学んでいる。

 魔族と人間は敵対しているらしいが、敵対するにしても敵の言葉を覚えて損は無いと言うことだろうか。


「歴史ももう少し詳しくやりたいんだけどな。」


 僕がそういうと爺は、


「教えて差し上げたいのは山々ですじゃ。

 されど優先順位というものがあります故、どうかお許しくだされ。」


 優先事項は魔法と言語、魔族と人間の一般常識、それが終わったら歴史を少々。

 精神が大人ということもあり、爺が驚くほどに勉強は進んでいった。

 そもそも魔王種はもとから頭が良い種族だ。

 僕が人間の頃よりも記憶力も思考力も性能が上だ。


 教えてもらった歴史は、魔族同士の覇権争い、魔族と人間の戦いだった。

 魔族は力を求め、人間は利を求めて争う。


 遙か昔には神が実在していた時代があるらしい。

 魔法や魔族がいるんだから神の存在を不思議に思ってもしかたが無いだろう。

 どうせなら転生時に一声かけてくれれば良かったのに。

 そこでチートスキルの一つや二つもらいたかった。


 ちなみにこの世界は、7割が人間の支配地域で魔族は2割。

 残りは空白地帯だ。

 魔族が生きていくためには多くの魔力を必要とし、魔素の薄い環境だと弱ってしまう。

 人間の支配地域の多くが、魔族にとっては不適当な場所なのだ。

 支配地域を広げるためには魔族流テラフォーミングしていかないといけないが、一筋縄にはいかないらしい。


 人間の支配地域の中でも、魔素が多い山や森、ダンジョンなどには魔族が点在しているとのことだ。

 母がやったような魔領からの大規模侵攻は希で、点在した場所に住んでいる魔族を援護して、少しずつ支配地域を増やしたりすることの方が多いらしい。


 強い仲間を拠点に配置して、指示出しで無双できる日が来るといいな。

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