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魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された  作者: 空雲
2章 放たれた魔銃と幸運の石
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31 皮肉な肉の違い

 いつもの習慣で日の出と共に目が覚めた。

 僕以外まだ誰も起きていない。

 しかし二度寝する気にはなれなかったので、辺りを散歩することにした。

 希望の家があったデイボン周辺と比べるとかなり涼しい。

 そして少し霧が発生していた。


 きれいに区画整備された居住区を歩く。

 石で舗装された道は歩きやすい。

 排水もきちんと出来るように設計されている。

 町並みも綺麗だ。

 人はほとんど歩いていない。

 こんな朝早くから見回りをしている兵士と、犬の散歩をしているおじさんを見かけただけだ。

 商業区や職人区なんかだと、人通りは違うのかもしれない。


 感動したのはガラスを使った窓が存在することだ。

 デイボンの町にいたときは、雑貨を含めてガラスを一切見かけなかった。

 てっきりこの世界には存在しない物だと思い込んでいた。

 ガラスの窓で、外の光を取り込むように設計された住宅をいくつか見つけることが出来た。

 一般常識を収集し直した方がいいようだ。

 僕が今まで住んでいた場所は、本当に辺境だった。


 今考えてみると、グラマンさんがあの町から出ようとしていた理由が分かる気がする。

 僕は精神魔法で彼の心を潰した。

 正当防衛のためでは無い。

 ルディンを失った怒りを向けたのだ。

 しかしその怒りはグラマンさんに対してだったのだろうか?

 自分に向けられたものだったのではないだろうか?

 僕は深呼吸をする。

 発想が悪い方向へ向かうのを振り払った。


 ゆっくりと散歩を済ませて宿舎に戻ると、ステラさんが朝食の準備をしていた。

 ステラさんに朝の挨拶をすると、好きな食べ物は無いか聞いてきた。

 希望の家ではろくな物を食べた記憶が無い。

 その話と昨日食べたシチューが涙が出るほど美味しかったという話をしたら、何故かおばさんが泣いた。


 白パンとベーコンエッグとポタージュという、前世を彷彿とさせる人間らしい朝食を食べた。

 もういちいち旨いとか言っていたらキリが無い。

 豆スープ、あれはいったい何だったんだろう?

 山で捕まえた狸の肉、そんなに臭くないと思って食べたけど、間違いない、絶対駄目な肉だ。

 今はもう食べられない。


 朝食を食べ終わるとブラニカさんが僕を尋ねてきた。


「はい、これ。

 テイランから着替えと靴を用意するように言われてたの。

 着替え終わったら研究所の方に来て欲しいって。

 適当に見繕ってきただけだから、サイズが合わなかったら言ってね。」


 僕はお礼を言うと、服に袖を通した。

 少しだけ大きめだったが問題ない。


「服のサイズは問題ありませんでした。

 ありがとうございます。」


「靴は?」


「こっちも大丈夫そうです。

 革の靴なんて履いたのは初めてで、落ち着きませんけど。」


 前世では革靴は履いたことはあるけれど、今履いている靴とは全然別物だ。


「そう、良かった。

 私は研究用資材の店で営業をしているの。

 商業区に店があるから今度案内するわ、じゃまたね。」


 そういうとブラニカさんは帰っていった。


 僕はジェイソン魔術研究所での仕事が始まることになった。





 街でグルメ無双がしたい。


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