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魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された  作者: 空雲
2章 放たれた魔銃と幸運の石
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30 シチューを手中に収める

 僕はジェイソン所長に、研究の手伝いをしつつ魔法を教わることになった。

 エリザさんの冒険者仲間である魔術師が所長の師匠だという話だ。

 ちなみに所長の師匠は王国の宮廷魔術師をやっているらしい。 

 

 現在の所長の研究はマジックアイテムの設計だ。

 魔銃もその一つだ。

 この世界に銃という物があるのか尋ねた。

 銃の設計は数百年前の復元資料から引っ張り出してきたということだ。

 つまり現在、銃という概念はこの研究所以外に存在していないと思われる。

 だから図面を見て何をする物なのかを言い当てた僕に驚いたらしい。

 銃という概念があったと言うことは、数百年前には転生者がいたんだろうか。


 この世界に来てから火薬を見かけたことが無い。

 爆発物は存在するのだが、魔力を含んだ鉱石を使う物だ。

 しかしこの世界には火薬の材料になる原料があるのは確認している。

 僕がこの魔銃を火薬で作り直したらとか言ってしまったら、きっと先生は悲しいことになってしまうのだろう。


 テイランさんが研究者用の宿舎を案内してくれた。

 部屋は空いているので、入居は問題ないらしい。


 そうこうしているうちに、すっかり日も暮れてしまった。

 考えてみるとお昼も食べていなかったのでお腹がぺこぺこだ。

 この宿舎を管理している中年の女性、ステラさんが夕食を作ってくれた。

 出てきたのはスープ・・クリームシチューだ。

 肉もジャガイモもニンジンも入っている、前世を思い出す構成だ。

 僕はシチューを食べる、旨い。

 この世界に転生してきて、一番旨い。

 あまりの旨さに涙を流して食べていると、


「あんなに幼いのに一人でこの街に出てくるなんて、寂しいわよね。」


 と、何か勘違いされてしまった。

 そして一緒に出てきたパンは千切ると中が白かった。

 これはパンだ、バターの香りがする。

 あれ?この前まで食べていた黒い奴ってなんだったっけ?

 涙が出すぎて思い出せないな。

 パメラやジキルにも食べさせてあげたいな、そう思うと涙が止まらなかった。


「寂しいかもしれないけれど、私が面倒を見てあげるから何でも遠慮無く言うのよ。」


 ステラさんに励まされた。


 宿舎は急に用意してもらったにもかかわらず、とてもきれいな部屋だ。

 ベッドがある。

 今までどうしてたかって?

 大部屋の床にシーツを引いてみんなで雑魚寝してたよ。

 なに?この待遇の良さ。

 考えてみると、魔領を含めて転生後ペットで寝た事なんて一度も無かったんだよね。


 そうか、ようやく人間の生活が始まるんだな、と思った。

 僕は人間らしく眠ることが出来た。



 


 人間的生活を無双しよう。


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