254 その空気を食う気か?
最終話まで一日二話投稿になります。
読み飛ばしにお気を付けください。
レイネス部隊の戦闘を開始する。
僕は地上部隊に指示を出す。
対空装備を持った部隊に、神鳥への攻撃を命令した。
神鳥対策は一応考えてある。
まずは地対空ミサイルの洗礼だ。
しかし致命的な欠点がある。
地対空ミサイルは十発しか持ってきていない。
そして神鳥の数は数百に及ぶ。
全く足りてない。
そしてついに敵が地上部隊の射程に入る。
神鳥に向けて地対空ミサイルが発射される。
命中、神鳥は原形を留めない形で四散する。
神鳥の数は多い。
しかし、一応はあり得ないと思いつつも神鳥ラッシュの想定はしていた。
そして準備していた対策を実行する。
レーザーだ。
レーザーと言っても、熱線兵器では無い。
熱線レーザーを高火力で撃っても、敵に当たる頃にはコタツの赤外線よりもヌルくなってしまうだろう。
もちろんそんな無駄なことはしない。
神鳥の目に向かって、強烈な光線を浴びせるのだ。
空を飛ぶ鳥が強烈な光を受けて突然視力を失ったらどうなるか?
答えは簡単だ。
落ちるしか無い。
次々と地上に落下して地面に叩きつけられる神鳥。
そこへ対地砲撃が撃ち込まれていく。
砲撃は地上の神鳥とゴーレム達を吹き飛ばしていく。
さらに空に残っている神鳥に向けて、地対空ミサイルも惜しみなく撃ち尽くす。
攻撃対象は神獣やゴーレムだけでは無い。
クルセイダーズ側の敵兵、人間への攻撃も行う。
そこで使用されたのは化学兵器を積んだミサイルだ。
風向きを計算し、最大限効果的に殺せる場所を狙う。
落下したミサイルから毒ガスが散布される。
毒ガスに触れた敵兵は、苦しむ素振りすら見せず突然倒れる。
空気を吸い込むまでも無く、皮膚に触れただけで血液中に取り込まれる。
その即効性はある意味人道的なのかもしれない。
辺り一帯に死の塊が作られていく。
恐らく僕は今、魔王アストレイアよりも多くの人間を殺している。
「アタイ達がアリスを守るから、アグレトはきちんと留守番してろよ。」
エリッタがそう言って、パラシュートを装備して飛行船から降下していく。
「俺も行ってくる。
だが、残り物をつまみに行く感覚なのが微妙なところだな。」
ジェイエルも飛び降りた。
ちょっと待てジェイエル・・・あんたパラシュートはどうした?
それに続いて飛行船に搭乗していた強襲部隊が降下していく。
魔領軍とクルセイダーズが入り交じっているところでは、さすがに強力な兵器を投入できない。
残りは降下していったジェイエルやエリッタ、そしてレイネスの最精鋭の人員に任せるしか無いだろう。
降下した部隊が辺りを制圧していく。
パラシュートを装備しなかったジェイエルは、何事も無かったかのように地上でゴーレムを砕いていた。
もう何も言うまい。
さらに降下部隊と地上部隊が合流し、その援護によって壊滅寸前だった魔領軍が息を吹き返す。
ほぼ、勝負が付いた。
僕はパラシュートを装備する。
さて、僕も行くか。
目指すはアリスの元だ。
光あれ無双だった。




