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魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された  作者: 空雲
終章 世界の終わりと創世の伝説
244/263

244 容量を無駄に食うデータだったクーデター

 帝国と魔領の同盟。

 僕が実現させたかったことではあるのだけれど、今はマズイのだ。

 そんなことをすれば、実現性が無いとスルーしていたエンプティモのクーデターが成功してしまう。

 その為の大義名分が揃ってしまうのだ。


「この後、私達が何をするかはお分かりですね。」


 セフリのその一言に、きっと僕の顔は青くなっているのだろう。

 僕は動けなくなっていた。

 気が付くとジェイエルが立ち上がっていた。


「アグレト、どうするか決めろ。」


 ジェイエルが僕の指示を待つ。


「ここで私達と戦うのは得策でないことは、元勇者様にはお分かりですね。」


 セフリが言う。

 僕はジェイエルの方を見る。

 まだ武器に手をかけてはいないけれど、強敵を相手にする姿勢だというのは分かる。

 そして僕を巻き込まないように決着(けり)を付けられるか、推し量っているようだ。


「少し前にサブオーレンという魔族に切られた傷が、思いの外治りが遅いので、今はあまり動きたくはありません。

 出来れば見逃していただきたいのですが。」


 セフリが休戦を提案する。

 

「サブオーレン・・・だと。」


 ジェイエルがその名前に反応する。


「知っている名前?」


 僕が聞く。


「サブオーレンはグレバーンの副官だった男だ。

 そして俺の攻撃を無傷で凌ぎぎった怪物だ。

 ()という面で見れば、あれより上を俺は知らない。

 以前戦った時、俺はアストレイアの元へ行くために焦っていた。

 それさえ無ければ勝っていた・・・というのは、言い訳にしかならないか。

 あれと戦って生きているというのが本当だとすると、奴は相当なタマだ。」


 まだいたのか、ジェイエル並の怪物。

 それって、もしかして魔王より副官の方が強かったんじゃ?

 アリスは大丈夫なのか?


 僕が攻撃の決定を下せずにいると、セフリが動く。


「それでは、このあと仕事が残っておりますので失礼いたします。

 大主教、参りましょう。」


 その声が最後だった。

 気が付くとセフリと大主教の姿は消えていた。

 完全に虚を突かれた。

 転移か?


「アグレト、外が騒がしいよ。

 これって?」


 エリッタが外の騒ぎに気が付いた。

 間違いない、エンプティモのクーデターだ。

 僕はその計画を盗聴して知っていた。

 そしてこの後の動きも。


「二人とも、レイネスへ戻ろう。

 ここはもう・・・間に合わない。

 最悪の状況になる前に、少し手を打ってからレイネスへ帰還する。」


 僕達は大聖堂から出る。

 街は皇帝派と教会派が戦っている状況だ。

 そして圧倒的に優勢なのは教会派だった。

 教会派と言っても、布告が行われるまでは立場を決めかねていた者も多いはずだ。

 それ故に最悪のタイミングだった。


 おそらく神の使徒にアリスの情報が漏れていたのだろう。

 歩く盗聴機魔王種、最悪だ。

 神の使徒は、タイミングを計りながら全てを緻密に計算していたのだ。

 レイネスに対しても情報を上手くコントロールし、クーデターは実現性が無いと思わせた。

 敵ながら見事だとしか言いようが無かった。







 敵の方がもっと盗聴無双だった。  


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