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魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された  作者: 空雲
終章 世界の終わりと創世の伝説
219/263

219 罪の無い積み荷

 僕達を乗せた飛行船は、特にトラブルが発生することも無くブリデイン王国へ到着する。

 着陸した地点には輸送担当と思われる王国軍が展開していた。

 そして責任者が僕に国王の印が入った書状を提示し、挨拶もそこそこに弾薬を荷馬車に積み込んで出発していく。

 相当に切羽詰まっているようだ。


 僕達は積み荷の別の馬車に案内され、そして王宮へと招待された。

 馬車は街を経由し、そのまま王宮へ直行する。

 ここに戻るのも久しぶりだ。


 僕とエリッタ、そして随行する技術者四名は謁見の間で国王と対面する。

 すぐ側には師匠こと宮廷魔術師クルデウスも控えている。


「この度は大義であった。

 レイネスの皆々方にはいくら感謝しても足りぬ。」


 国王が感謝の言葉を述べる。

 エリッタは緊張で固まっており、他の四人もガチガチになっている。


「恐れ多いことです。

 今は誰もが一丸となって困難に立ち向かって行く時と存じます。

 どうか、今後も一層のご協力をお願いいたします。

 申し遅れましたが私はアグレト、今回の輸送計画の指揮を執らせていただいております。」


 免疫があるのは僕だけのようなので、適当な挨拶を返しておいた。


「オキス殿の件は誠に残念に思っている。

 余もオキス殿とは面識もあるが故に、レイネスの一同の心中もお察しする。

 時にアグレト殿、新たな代表はどなたになるのかな?」


 レイネスの幹部一同は、オキスを偉大な大賢者と認識している。

 だから誰もが尻込みして、同じ立場になろうとしないのだ。

 だから代表の立場は空白地帯となっている。


「今のところは決まっておりません。

 各担当の責任者が職務を全うしているところです。」


 僕は仕方が無いので、そう答えておく。


「そうか、てっきりアグレト殿がそうなのかと思ったのだが。

 ああ、レイネスの人事に口を挟む意図では無い、忘れてくれ。」


 国王は僕をどういう目で見ているんだろう?


「私のような者に務まる役職ではございません。

 それよりも陛下、こちらを。」


 僕は武器の製造に役立つ技術資料を献上する。

 国王はそれを軽く見た後、そのまま師匠に渡す。


「内容に関してはそこにいるクルデウスの任せよう。

 後ほどクルデウスの方から相談があると思うが、協力してやって欲しい。」


 国王はそう言って僕に協力を求めた。


「御意。」


 いつもの決め台詞だ。


「こんな時分のため、ささやかではあるが、歓迎の宴を催させてもらった。

 親睦も兼ねてぜひ参加して欲しい。」


 国王の友好的は言葉とは裏腹に、師匠の視線が痛い。

 この場で師匠は一言も発していない。

 いつも通りニコニコした表情の師匠は、僕をX線透視しているんじゃ無いかと言うぐらい観察している。

 師匠はいつも通りの師匠だった。







 観察無双か?


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