214 酸性に寄る酸っぱい賛成
「エリッタ、探したよ。」
僕は花壇で花を見つめるエリッタに声をかけた。
「アタイはアンタになんか用は無い。」
エリッタは振り返りもせずに答える。
「エリッタ、君はブリデイン王国を救いたいんじゃないの?」
「アタイが王国の出身なのを誰かから聞いたんだね。
だけど余計なお世話だ。」
エリッタはやはり振り返りもしなかった。
「このままじゃマズイのは分かっているだろう?
僕のせいなのかもしれないけど、このままだったら必ず後悔することになる。」
僕は諦めずに声をかける。
「・・・。
そうだ、アンタのせいだ。
似すぎているんだよ、アンタは!」
エリッタは叫ぶように言う。
誰に似ているのかは聞くまでも無い。
「ごめん。」
僕は本気で謝った。
正体を明かしたいのは山々なんだけど、まだマズイ。
「なんでアンタが謝るんだよ。
そういう所が・・・くそ!」
エリッタはようやく僕の方へ振り返った。
「僕は色々と君に隠していることがある。
だから僕は謝らないといけない。
だけどいずれ本当の事を話すから、今は信じてもらえないかな。」
「一つだけ聞かせて。」
エリッタが僕の目を見て、そう言う。
「なんだい?」
僕はエリッタの方をしっかりと見た。
「アンタはオキスと会ったことはあるの?」
「正確に言えば会ったことは無い。
でもよく知っている。
そして彼の意志は僕が継いでいる。」
僕はそう答えた。
エリッタはずっと僕の目を見つめ続けている。
しかしいつもと違って睨まれているわけでは無い。
「アンタが何者なのか、いずれ話してもらうよ。」
エリッタは何かを決めた顔をしている。
何らかの整理を付けたようだ。
「うん、必ず話すよ。」
そして会議の場に戻ったエリッタは僕の意見に賛成を表明する。
これによってブリデイン王国への救援が可決されることとなった。
ブリデイン王国へは僕が行こうと思っている。
王国でやらなければならないことは、救援意外にもあるのだから。
そんな緊急事態の最中、僕の所へアグレトを名指しする客が来訪する。
先代勇者ジェイエルだった。
無双勇者来訪のようだ。




