211 正体がばれるショータイム
「いつからバレてた?」
僕はリプリアに聞いた。
「最初から。
気配がオキス様そのものでした。」
うーん、体が変わっているのに気配が同じってどういうことだろう?
「ずっと僕の周りにいたよね。
何故声をかけなかったの?」
気配はしていたんだけど、姿は補足できなかったんだよね。
さすが隠密行動に長けているだけのことはある。
「隠しているご様子でしたので。
事情を確認するため、今まで警護を兼ねてお側で控えさせていただきました。」
「なるほど。
ただ、僕はオキスではなくアグレトだよ。
オキスは死んだんだ。
死因は失血死、アリスの永劫の回帰に為す術が無かった感じかな。」
「ではアグレト様とお呼びします。
ジキルからの報告では、アリス様は正気を取り戻し、魔王グレバーンを倒した後、新しい魔王になったとのことです。」
「うわ、グレバーンを倒したんだ。
強いなアリス。
ところでジキルは今どこに?」
「魔神ギスケに協力し、クルセイダーと対峙しております。」
「パメラやカシムも?」
「はい、他にサリアとブリューデンも。」
「そうか、姿を見ないと思ったら、うちの主戦力は出払っているんだね。
まあ、近いうちに最強クラスの人材が補充できる予定だから問題は無いかな。
リプリア、協力はぜひお願いしたいんだけど、僕はもう魔王の息子じゃ無い。
それで問題は無いの?」
「はい。
わたくしはオキス様に忠誠を誓いました。
そしてアグレト様に器が変わられただけ。
わたくしの忠誠は揺らぎません。」
器が変わるのは大きく問題な気がするんだけど。
しかも凄くしぼんだ器だよ。
しかしリプリアの言葉は確固たる信念が宿っていて、とても嘘を言っているようには思えない。
「そういえば最近ずっとエリッタに睨まれてるんだけど。
なにか心当たりはあるかな?」
リプリアにエリッタのことを聞いてみた。
「アグレト様がオキス様だからです。
違うと思いつつも、アグレト様とオキス様を重ねてしまうのでしょう。」
体が全然違うのに、重ねてしまうほどの何かがあるんだろうか?
自分ではさっぱり分からない。
「そうか。
本当は打ち明けたい所なんだけど、エリッタは嘘が下手だからなあ。
クルセイダーズの背後にいる神の使徒に、僕の存在を気取られたくないんだ。
しばらくは他の人達には秘密にしておいて欲しい。」
「はい、仰せのままに。」
リプリアは優秀すぎだった。
リプリアが無双気味だ。




