表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された  作者: 空雲
終章 世界の終わりと創世の伝説
206/263

206 復活しないフッ化水素酸

 やってきました戦闘イベント。

 僕達を乗せた馬車を含む商隊は、見事に盗賊に行く手を阻まれている。

 まあ、最近は魔領軍が攻めてきたりクルセイダーズが暴れ回っているから、帝国の治安は乱れているんだよね。

 しかし首都から少し離れただけでこの有様とは。

 ギスケにはもう少ししっかり仕事をしてもらいたい。


 もちろん僕達のいる商団は護衛を雇っている。

 そこそこ腕の立ちそうな冒険者が十名ほどいる。

 腕が立ちそうと言っても、昔の僕だったら瞬殺しているレベルではあるけれど。


 対する盗賊達は八名。

 勝てると踏んだ冒険者が盗賊に向かって突撃する。

 そして戦闘は開始された。


 いやいや、真っ正面に突入してどうするんだ?

 絶対に伏兵が潜んでいるだろう。

 周囲の確認するとやっぱりいる。


 さらに八名しかいないと思われた正面に、茂みから現れた盗賊が続々と追加される。

 正面二十人、さらに側面と後方に伏兵ありだ。


 正面の人数が増えたことにより、冒険者は突入の勢いを殺してしまった。

 うん、そこそこ腕が立ちそうだというのは取り消そう。

 駄目だこりゃ。


 恐らく盗賊達は、護衛の冒険者達を馬車から引き離してから倒し、金品に傷が付かないようにしたいのだろう。

 だから最初に少人数だと見せかけたのだ。


 立ち往生した冒険者達を狙う伏兵の盗賊が見えた。

 弓を(つが)えている。

 足を止めた冒険者達は格好の的だ。


 僕は手持ちの瓶を伏兵の盗賊の一人に向かって投げる。

 カチャンと言う音が聞こえ、次に叫び声に変わる。

 中に入っていたのはフッ化水素酸、劇薬だ。

 一応濃度は落としてあるけれど、あれだけまともにかかってしまうとたぶん致死量に達しているだろう。


 今の僕の戦闘能力は語るのも悲しい状況だ。

 手を抜いている場合では無い。

 クルセイダーズとも戦うことになるのだ、人殺しの覚悟は出来ている。


 フッ化水素酸を浴びた盗賊は叫びながら転げ回る。

 仲間の突然の被害に動きが止まる盗賊達。


「そっちにも一発いきます。

 気をつけてください。」


 僕は冒険者に向かって叫んだ。

 冒険者達は正面の盗賊達と距離をとる。

 僕はそのまま正面盗賊達の方へ走り出す。

 そして瓶を遠投する。


 僕の言葉に盗賊達も反応した。

 未だ呻きながら転がっている仲間を見て、瓶の中身が危険な物だと判断したようだ。

 瓶に当たらないように大きく後退する。

 そのせいで瓶が誰もいないところに落ちて割れる。


 しかし問題はない。

 回投げた瓶の中身は空だ。

 そもそもが盗賊と冒険者の距離を離すのが目的なのだから。


「オッケーです。

 護衛の人達、いったん左手に移動してください。」


 僕は冒険者を風上に移動させる。

 これだけ距離を離せば大丈夫だろう。

 そしてさらに瓶を投擲する。

 瓶は正面の盗賊達の近くの木に当たり粉々になる。


 直接当たらなかったことで安堵する、盗賊達。

 僕の動きが止まったとみると、反撃しようと武器を構える。

 ところがしばらくすると盗賊達が一人、また一人と咳き込み始める。

 特に症状の重い一人が呼吸困難の症状を見せる。

 さっき投げたのは、マスタードガスに似た成分の揮発性の液体だ。

 皮膚の炎症、呼吸困難、嘔吐などを引き起こし、そして無色無臭だ。

 ただし一分ほど経つと、空気中に拡散して効果を失う。


 盗賊の正面の集団は事実上無力化に成功した。

 しかしまだ全員倒したわけでは無い。

 僕が次の標的を確認しようとしたとき突然、側面に潜伏していた伏兵の盗賊が斬りかかってくる。

 レベルゼロの僕は迫り来る刃を目の前にしていた。








 薬品無双だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ