表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された  作者: 空雲
終章 世界の終わりと創世の伝説
203/263

203 審査が入りそうな診察

 弱った体も順調に回復し、路銀も無い僕はブレイトンさんの手伝いを始めた。

 町医者としてちょっとした怪我から病気、果ては難しい手術まで華麗にこなすブレイトンさん。

 回復魔法すら使用不可になった僕に出来ることがあるかというと・・・実はあった。


 異界の辞典に死角は無い。

 薬や病巣(びょうそう)に関する知識、そして遺跡街レイネスから送られてくる道具の使い方、そういった部分で役に立てているはずだ。

 シーリを経由しなくて良いので、必要な情報をバンバン引き出すことが出来る。


 今の体の欠点は、魔力を失い完全に魔法が使えないことだ。

 そして体力が大幅に落ち、一般的な現代人の成人男性レベルに毛が生えた程度になっている。

 当然のごとく魔導力も神の残滓も使えない。

 戦闘力はその辺りの冒険者にも劣るかもしれない。


 きっとこっちに来たばかりの頃のギスケも苦労したのだろう。

 僕のアドバンテージは、こちらの世界で過ごした知識があることだ。

 言葉も問題なく話すことが出来る。

 そして異界の辞典が使用可能なままであることだ。


「アグレト、お前は何者なんだ?」


 突然ブレイトンさんからそんなことを言われた。

 まあ、異界の辞典を躊躇せず使っているので気持ちは分かる。


「少し前にオキスが来ましたよね。

 同類です。」


「やっぱり知り合いだったのか。」


「ついでに言うと、魔神ギスケと同郷です。」


「おい、それは俺が聞いていい話なのか?」


「まあ、問題ないと思います。

 ブレイトンさんに嘘を言っても、何の得にもなりませんから。

 それともう少し路銀を貯めたら遺跡街に行こうと思っていますので、迷惑はかけませんよ。」


 そんな話をしているとき、アデルタが姉と共にやってきた。

 差し入れを持ってきたのだ。

 アデルタは以前僕が助けた少年だと思っていた・・・少女だった。

 僕がオキスをやっていたときのアデルタの格好は完全に男装だったので、僕に罪は無い。

 まあ僕とオキスは別人なので、何のフラグも立たないから安心して欲しい。


 そしてその姉ウイリンは心臓の手術を受け、ブレイトンさんに経過観察されている状態だ。

 彼女は毎回パンやチーズなどを差し入れてくれる。

 ブレイトンさんはウイリンを診察すると、また僕に話しかけてきた。


「レイネスに行くのなら、俺も連れて行け。

 オキスとの約束もあるからな。」


「ここは大丈夫なんですか?」


「まあ不安はあるが、他の医者もレイネスの薬を使えるようになっている。

 ウイリンの経過も良好だし、俺がいなくなっても問題は無いだろう。」


 その話を聞いたウイリンが悲しそうな顔をする。

 薄々勘付いてはいたけれど、ウイリンはブレイトンさんが好きなのだろう。

 僕はいったんこの場を離れる。

 うん、二人で話し合ってもらおう。


 遺跡街に戻る前に本当はギスケにコンタクトをとりたい所なんだけど、帝国の中枢にも恐らく神の使徒がいるはずだ。

 せっかく盗聴される体とお別れしたのだ。

 再びマークされるのはしばらくは避けたい。

 いずれはこの事実をギスケに伝えなければならない。


 これからの行動目標はまず遺跡街レイネスに戻ること。

 そして神と戦うための武器を揃える必要がある。

 以前に開発を凍結させた化学兵器も使わざるを得ないだろう。

 とはいっても、僕はもうオキスではない。

 遺跡街でどう立ち回るか、なかなかに難しいことになりそうだ。







 神の使徒はスパイ無双中のようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ