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20 盗み聞きは危機の元

 ルディンは見つからない。

 警備隊の人からルディンは未だ見つかっていないという連絡を受けた。

 グラマンさんも聞き込みをしてくれたようだけれど、さっぱり足取りがつかめないという。


「お前が調子に乗ってたからだ。」


 希望の家でカシムが僕に絡んでくる。

 最初にルディンを虐めていた奴だ。


「・・・。」


「何か手がかりは無いのかよ。

 ルディンが見つからなかったらお前の責任だぞ。」


 自分は虐めていたくせにと思わなくも無いが、痛切に責任を感じる。


「確かに僕の責任だ。

 手がかりはある、これから調べようと思う。」


 僕はいくつかの可能性を推理していた。

 検証しなければならないことを一つずつ潰していこうと思う。


「俺も手伝う、家族だからな。」


「え・・・。」


 カシムの言葉に耳を疑った。

 性格の悪い糞ガキとしか思っていなかったからだ。


「パメラは暴走するし、ジキルじゃ臆病で使えないだろ。

 俺が協力してやるよ。

 だから何をして欲しいか言え。

 悪知恵はお前の方があるんだろ?」


 カシムが侠気(おとこぎ)を見せ始めた。

 今回はパメラとジキルは外して単独行動しようと思っていた。

 しかしカシムは使えるかもしれない。


「分かった、協力してもらおう。

 まずは町長に会おうと思ってるんだ。」


「町長?

 今回の件に何か関係があるのか?」


「可能性がだけどね。

 それを潰しに行こうと思う。」


「分かった。

 町長の所に行くまでに理由を説明してくれよ。」


 僕は歩きながら今までの経緯とともに、今回の件を説明をした。


 まず、最初に誘拐されたとき、チンピラ二人は僕達を待ち伏せていたような感じだった。

 その時、僕達は町長の依頼の品を町外れの倉庫に取りに行ったのだ。

 町長は僕達が店でアルバイトをしているのを知ってたはず。

 つまり僕達が取りに行くことになるのを読んでいた可能性がある。


 そして詰め所での事件の時、町長と道で擦れ違った。

 あれは詰め所から出てきたからでは無いのだろうか?

 その後に事件が起きていることを考えると、関係を疑わない方がおかしい。


 

 僕達は町長のいる事務所へ着いた。

 事務所の受付で町長を呼んでもらった。

 しかし重要な案件を相談しているとのことで取り付く島もない。

 その後は来客があるという。

 まあ、孤児院の子供が会いに来たところで、そんな簡単に出てきてはくれないだろう。

 僕はカシム指示を出す。


「痛ぇ腹が。

 いたたたた、た、助けて。」


 古典的な演技だ。

 しかし効果は絶大だ。

 受付の人の注意がカシムに言っている隙に僕は奥へと侵入することが出来た。


 僕はいくつかの部屋の中から、人の気配がする場所を探した。


「あの失敗はまずかったな。」


「確かに。

 しかし今回の件で何とかなりそうです。」


「孤児院の子供も、大人しくしていれば良かったのだ。」


 何か危険な会話が聞こえてくる。


「色々と問題が生じましたが、最終的に調査は滞りなく。

 ただし、(こと)は急がなければなりません。

 あとは実行の指示を出すだけです。」


 調査?実行?さて何のことだろう。

 本来は町長にこっそり精神系思考妨害の魔法をかけて、疑問に対する答えの確認をするつもりだった。

 しかし方針を変えなければならない。


 僕がさらに聞き耳を立てていると、


「君、何をしているの?」


 事務員に見つかってしまった。


「ん、誰かいたのか?」


 部屋の中から声が上がった。

 まずい、完全にバレた。

 僕は部屋の中に連れて行かれた。


「君はオキス君ですね。」


 部屋の中にいたのは、町長と町長の秘書だった。


「もしかして話を聞いてしまいましたか。」


「いえ、全然。」


 僕はダメ元で嘘をついてみる。


「・・・、このまま返すわけにはいかなくなりましたね。」


 やっぱり信じてもらえなかったようだ。

 町長秘書のエクバイヤさんがクールな顔で僕に冷たい視線を向ける。


 僕は逃げ道を失った。 




 最近ピンチばっかりで無双できる気配が無いよ。

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