195 バックレたいバックドア
本日二話目です。
ブリゲアン、どこかで聞いたことがあると思ったら四天王グレドキープの弟だった。
私達は既に帝国領内に入っている。
何故こんな所にいるのかと疑問を持つと、ルディンが事情を説明してくれた。
「つまり、彼に協力していた魔族ということね。」
私はルディンに確認する。
『うん。
正確に言うとオキス兄ちゃんというよりは、魔王アストレイアに忠誠を誓っている形だと思う。』
いったいどんな話を持ってきたのか気になるところだ。
私は会うことにした。
そしてブリゲアンが私の前に現れる。
片腕がニョキニョキしているのが気になるけれど、突っ込むのはやめよう。
「それで何の用なのかしら?」
私はブリゲアンに問う。
「お初にお目にかかります、アリス陛下。
わたくしブリゲアンと申します。
お噂は伺っておりましたが、ここまで美しい方だとは。」
ブリゲアンは恭しく頭を下げながら言う。
「余計な世辞はいいから、本題を進めてくれるかしら?」
「はい、申し訳ございません。
わたくしオキス様には大変お世話になりまして。
いやいや、もちろん事情は伺っております。
敵討ちとかそういうつもりは一切ございませんので、誤解無きよう。」
どこで誰から事情を聞いたのか疑問が残る。
「それで?」
「現在わたくしめは、あるお方にお仕えしております。
その方からの重要な伝言をお伝えします。
魔王種は挙動を探る穴を埋め込まれており、神の血筋の者に情報を読み取られてしまうので重々注意せよと。」
穴?バックドアを仕込まれているということ?
「あなたが仕えているのは誰?
あなたは未だにアストレイア叔母様の指示で動いているのよね。」
「はい。
詳しくは申せませんが、アストレイア様の意志を継ぐ方の下に。」
ブリゲアンが何か言うごとに疑問が増すばかりだ。
他にも動いている魔族がいるのだろうか?
「私が引き継いだつもりだったのだけど、あなたの主人の方が私より仕えるべき相手ということなのかしら。」
「いずれお分かりになる日が来るかと。
我が主はアリス陛下と再会できる日を心待ちにしております。」
「!?
つまり私が会ったことのある人物と言うこと?」
「御意。」
誰?
まったく心当たりが無い。
「あなたの主人のことはとりあえず置いておくわ。
それで情報を読み取られるというのは、どういうレベルなの?」
「居場所やある程度の挙動、聞こえた音などの情報でございます。」
GPSと盗聴機が埋め込まれているらしい。
なるほど、辻褄が合う。
神側に色々と先手をとられたのはこのせいだったらしい。
盗聴無双は犯罪だと思う。




