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魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された  作者: 空雲
6章 魔王の息子と最後の無双
162/263

162 今日する虚数演算の話

 どうやら闇魔法を発動させてから三日ほど経っていたようだ。

 僕の目が覚めたのを知ると、全員が集合した。

 ジキル、パメラ、カシム、サリア、ブリューデン。

 闇魔法に力を注ぎ込んだ僕と三人は、まだ本調子では無い。

 魔力の量は5%というところだろうか。

 三人は僕のように深い眠りに入ることは無かったようだ。

 

 みんなからの情報をまとめてみる。

 闇魔法によって敵を壊滅させたのはエルシアの言った通りだった。

 さらに着弾地点と思われる周囲は、地面ごと消失。

 地形を削り取った状態だ。

 さらに余波と思われる空間のゆがみが発生しているらしい。

 試しにモノを投げてみると、突然方向が曲がったり形状がおかしな事になったりするという。


 それを聞いて「酷い状況だね」と言ったら、お前が言うかという顔をされた。

 いや、少なくとも闇魔法に力を注いだ三人は共犯だよ。


 さらにギスケから通信が入り、状況を確認した。

 ギスケはクルセイダーズに強力な魔法で威嚇を行い、戦闘にならずに敵が撤退して終わったそうだ。

 人殺しは極力避けるという方針は僕も同意するところだ。


 既に敵が消滅してしまった話はギスケに届いていた。

 そして闇魔法の話になった。


「いったいどういう魔術回路を編んだんだ?

 全く想像も付かないぜ。」


「以前戦った魔術師に闇魔法を使った人がいて、それを真似してみたんだ。

 イマイチ再現できなかったから、精神魔法に使う虚数演算を組み込んでみた。

 それを有りっ丈の魔力で大量生成した感じだよ。」


「虚数演算・・・?

 回路構成は?」


 僕は回路の内容を説明した。

 ギスケはしばらく黙っていた。

 検算しているようだ。


「馬鹿か・・・。」


 いきなり酷い言われようだ。


「アンタ、世界を滅ぼすつもりか?」


 ジェイエルにも似たようなことを言われたような。

 てっきり異界の辞典の力のことだと思っていたんだけど。


「そんなにマズかった?」


 たしかに破壊力は凄まじいものだけど、あれで世界が滅ぶとは思えない。


「あれは正確には闇魔法じゃ無い。

 闇に見えるのは、世界の規則がぶっ壊れているからだ。

 光が反射するという規則が書き換えられているから闇に見える。

 しかし実際は法則や因果をぶっ壊す無茶苦茶な魔法だ。

 量子が偏った変動を起こして飛び散るのをイメージしてくれ。

 確率が意味をなさなくなる。」


 ギスケが魔法の説明をしてくれた。

 うん、意味が分からないな。


「ハッキリ言っておく。

 その魔法は二度と使うな。

 すでに使った一発でさえ、未だに安全とは言えない。

 何が起こるか全く分からない。」


 ギスケがそこまで言うとは、僕が思っている以上にヤバいのだろう。


「分かった。

 あんなことになるなら、もう使わないことにするよ。」


 もう怖くて使えないよ。


「そうしてくれ。

 虚数演算は俺の魔法陣じゃ再現できない。

 もし暴走でもしたら止めようが無いのは肝に銘じてくれ。」


「ギスケでも無理なの?」


「ああ、俺にも無理なものがあるのを始めて知ったよ。

 今までは、やろうとしたものは全て再現できたからな。

 それとお前の闇魔法は、絶対誰にも教えるな。

 教えて使えるような奴は・・・魔王種ぐらいか。

 敵があれを使ってきたらどうなるか、考えれば分かるだろ?」


 考えたくも無かった。









 無双魔法は禁呪となった。


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