147 脱線から脱せない
僕は異世界に紛れ込んだのだろうか?
いや、元から異世界に転生していたのだけど、この空間だけ何かおかしい。
「そろそろ本題に戻りたいのですが。」
僕がそう提案する。
本当に戻りたい。
「そうね、ギスケの本命が誰なのかが重要ですよね。」
皇帝エスフェリアがそう応じる。
戻りそうに無かった・・・。
「いい加減にしろ、みっともないだろ。」
ギスケが止めに入る。
というかみっともないとかそう言う問題なのだろうか?
「分かりました。
それで本命は?」
この皇帝、分かってない・・・。
この茶番はいつまで続くんだ?
「陛下、タレンティが参りました。」
侍女のアグレスが皇帝に報告する。
「そう言えば呼んでいましたね。
こちらに。」
皇帝がそう言うと、フードを被った女性がやってきた。
ようやく脱線からのリカバリーだ。
「オキス様、ご紹介します。
わたくし達に協力者であるタレンティです。
どういう存在かはお分かりになりますね。」
彼女の気配は・・・魔族だ。
帝国には魔族の協力者がいたらしい。
「魔族ですね。
なるほど、僕だけが例外という訳では無いようですね。」
「その通りです。
彼女には魔領の情報や飛龍の調達など、大変助かっております。」
僕はギスケの方を見る。
当然だという表情だ。
おそらくタレンティを引き込んだのはギスケだろう。
この世界の常識で魔族を仲間に引き入れようとするのは、かなりダークサイドな者だけだ。
そしてギスケはこの世界の常識には縛られない。
僕がタレンティの方を見ると軽く会釈した。
そしてフードをとる。
ロングヘアーで髪の間から小さな角が見える。
「僕も彼女のように多少はお役に立てるとよろしいのですが。」
僕はそう皇帝に言った。
ようやく異空間から脱出できたようだ。
「多少どころではありません。
オキス様に供給していただいた武器をテスト運用させていただきました。
その威力に驚いて、つい撃ちまくってしまい弾薬が無くなってしまうところでした。」
皇帝が最後に不穏なことを言う。
「え?」
もしかしてこの人、自分で試射したの?
僕は再びギスケを見る。
彼は諦めた表情で首を振る。
「射撃もそうだが、突然手榴弾のピンを抜いて俺にパスするのは止めろ。」
ギスケが迷惑そうに言う。
「え?」
何言ってるの?
「訓練しているカレアをニヤニヤ見ていて隙だらけだったからです。
油断大敵ですよ。」
この人達、何やってるの?
異世界の異空間無双だった。




