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魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された  作者: 空雲
5章 希望の家と集う仲間
131/263

131 余弦では計算出来ない予言

今日二話目です。

 僕は腰に下げたままの賢者の杖を起動しつつボロ剣に闇の魔法をチャージする。

 力を吸収し、最終的に究強力な攻撃に転化出来る。


「全員手を出さないで。

 シーリも今回は待機だ。

 どうやら親子の問題みたいだからね。」


 僕はそう言った。

 総掛かりでもまず勝てないだろう。

 そしてシーリを使ったら怒らせてやぶ蛇だ。


 こんなところで魔王討伐クラスの勇者と対決することになるとは。

 とほほ展開もいいところだ。

 唯一の救いは、勇者ジェイエルの剣に迷いがあることだ。


 僕は風の魔法で防御と機動速度上昇を行いつつ、勇者ジェイエルに特攻した。

 それをジェイエルは軽々受け止める。

 そして一閃して反撃、僕の首筋がぱっくり割れる。

 激しく出血する。

 僕は回復魔法に力を振り分け止血する。

 ルディンの補助のおかげで、並列で魔法が使えるのがありがたい。


 瞬殺されないだけマシというところか。

 今の一合で闇の魔法剣にジェイエルから奪った力がチャージされた。

 ぶっちゃけ本気を出されたら終わりだ。


 僕はもう一度突撃する。

 僕の剣を軽くいなすジェイエル。

 そして僕の心臓めがけて打ち込まれる剣。

 僕は目前で待機状態にしておいた爆裂魔法を発動させた。

 完全に自爆テロだ。


 爆発に巻き込まれる僕とジェイエル。

 僕は風魔法で防御しつつ後方へ飛ぶ。

 賢者の杖とルディンサポートのおかげで、二つの魔法の準備が平行して可能なのだ。

 しかしかなりの無茶をやっているだけあって、防御しきれない力が僕にダメージを与える。


 顔がヒリヒリしている。

 目は守ったけれど、顔に軽度の火傷を負っている状態だ。

 心臓を貫かれるよりはマシな結果だろう。


 そしてジェイエルの方は・・・。

 包帯が吹き飛んでいた。

 そして激しい皮膚の炎症が露わになった。

 その炎症は今付いたものでは無いようだ。

 事実上、ダメージ無しだろう。


「それは魔王グレバーンにやられたものですか?」


 僕は炎症について聞いた。


「そうだ、奴の持つ魔剣の呪いだ。

 十年前、俺はアストレイアを殺したグレバーンに怒りを向け、そして戦った。

 結果、グレバーンを瀕死の状態にまで追い込んだが、他の魔族に邪魔されて倒すことは出来なかった。

 今にして思えば、あの時グレバーンが言っていたことが正しかった。

 姉の言っていることは間違っている、騙されるなと。」


 あの日の出来事はこれでだいたい分かった。

 魔王アストレイアを弟のグレバーンが殺害。

 魔王とデキていた勇者ジェイエルがグレバーンと対決し痛み分け。

 あの時、ジェイエルの仲間の気配が無かったんだけど単独で戦ってたのかな。


「父さん、ここで僕を殺すとしてその後どうするんですか?

 神に対抗する手段を失いますよ。」


「どうにも出来ないだろうな。

 だが、人が死ぬ数は減る。」


 吐き捨てるように言うジェイエル。


「奴隷としてですか?

 僕は生きるのも死ぬのも、神ではなく人が選ぶべきだと思っています。

 まあ生きているからには、死ぬまで生きるというのが座右の銘ですけどね。」


 ジェイエルの殺気が衰えていくのを感じる。

 そもそも無理矢理に絞り出していたような殺気だったのだ。


「あなたは自分の信じたものを貫けなかったんですか?

 中途半端も良いところですよ。」


 僕の言葉にジェイエルは目を閉じる。


「・・・。

 知り合いに未来を見る力を持つ者がいる。

 そいつが見た未来は岐点を壊さない限り、必ずその結末にたどり着く。

 そしてその岐点が今だ。

 人は手にした最悪の力で殺し合うだろう。

 それは俺の責任であり、そしてお前が招く結果だ。」


 酷い結果だった。








 予言者無双か?


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