12 肉が憎い
肉が食べたい。
ということで裏山へ食料探しに出かけることにした。
裏山には狸がいる。
罠を作って捕獲する方法も考えたが、今回は魔法の訓練相手になってもらおうと思う。
魔法を見られるわけにはいかないので単独行動だ。
獣道を進みながら糞を確認する。
大量の糞を発見した。
ため糞だ。
新しいものが混じっているので、この辺りにいる可能性が高い。
気配を殺しながら辺りをうかがう。
体の臭いを消すような対策をしてくれば良かったかとふと思ったが、今回はダメ元で来ているのでよしとする。
辺りが見渡せるように木に登る。
しばらくじっとしていると獲物を発見した。
狸が一匹、辺りの臭いをかぎながら歩いてきた。
木の実をかじりだした。
僕には気がついていないようだ。
魔術回路を編む。
今回は精神系沈静魔法だ。
この魔法は射程距離が長い上に、かけられている側が感知しにくい。
ただし効果が出るまでに時間がかかるのが欠点だ。
僕は魔術回路にゆっくり魔力を通す。
狸がアクビを始めた、カワイイ。
おおっと、集中が外れそうになった。
なんとか魔術回路を維持し、かなりの時間をかけた。
狸がどんどん大人しくなっていく。
そして動きが弱くなり、ついに体を伏せる。
狸を眠らせることが出来た。
こんなに時間がかかるのでは、この魔法は実戦では役に立たないだろう。
ちなみに精神系の魔法は、動物や魔物にかけたことはあるんだけど、人間で試したことは無い。
人間に対する威力が不明なので、迂闊に使えない。
たぶん無いとは思うけど、母の魔法のように後から衰弱死とかしたら怖すぎる。
狸が寝入ったので、木から下りた。
途中で枝にズボンが引っかかり、少し破けてしまった。
こういうのはエリザさんの所に持って行くと直してもらえる。
そしてワンポイントのオプションがついておしゃれ度がアップする。
ペナルティなのだろうか?
狸にそっと近づき、網をかぶせる。
成功・・・狸寝入りでは無かったようだ。
ここで狸が目を覚ました。
沈静魔法程度では、すぐに気付かれてしまうようだ。
暴れ出したけど、引きずりつつ、なんとか持ち帰ることには成功した。
希望の家に帰ると狸を見てみんな可愛いと言って喜んでいる。
確かに可愛いんだけど、食料だよこれ。
みんなの見えないところに運んで、家畜を絞めて血抜きをした。
調理場に運んでいるのを一人に見られ、泣かれた。
カティアさんに肉を差し出して、狸を捌くのに協力した。
カティアさんは特に動じた様子は無かった。
この人は何かやらかしたときに説教はするが、大概のことは動じない。
希望の家では年に一度、家畜の鶏を絞めて食べるらしいので、肉が食べられないというルールは無い。
晩ご飯がかつて無いほど豪華になった。
なんとスープに肉が入っているのだ。
狸の肉は臭みがあるので食べづらいという前世の記憶があったが、この世界の狸はそういう問題なかった。
みんな美味しい美味しいと言いながら食べた。
運んでいる現場を見てしまった一人だけ、スプーンを持つ手が止まっている。
目をつぶって一気に肉を口に運んだ。
美味しそうな顔になった。
その後、みんなからなんとなくな距離をとられているのは気のせいだろうか?
みんな美味しいっていってたじゃん。
その後、罠を作るため年長組に協力してもらい、材料を職人達から集めてもらった。
食料に関しての協力は、非常に積極的だ。
僕が関与しなくても肉の調達が可能になったが、獲物が減りすぎると困るので、ほどほどに設置することと、幼い動物は見逃すように指示を出した。
スープが格段に美味しくなった。
肉の恩恵以上に出汁がとれるようになったのが大きい。
獲物がいなくなると困るので、狩り無双はほどほどに。




