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魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された  作者: 空雲
5章 希望の家と集う仲間
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114 音がズレても訪れない地獄

 僕はエリザさんの糸に貫かれた。

 この状態に至るまで、エリザさんの予備動作は全く見えなかった。

 相変わらずの無双ぶりだ。

 相対したときに片腕を失うだけで済んだブリゲアンは、実は相当に強いのだろう。

 そんなことを冷静に考えていたのは、この後に起こる状態への逃避をしていたからだ。


「・・・。」


「・・・。」


「・・・。」


「え?」


 いくら待っても痛みが来ない。

 ジキル達が体験した地獄が来ないんだけど?


「どうやら終わったようだね。」


 そうエリザさんが言ったのだけれど、何が終わったの?


「もしかして失敗ですか?」


「もう終わったと言ったろ。

 腹に力を入れな。」


 僕は言われた通り、お腹というか腹筋を固めてみる。

 次の瞬間、弾け飛ぶような衝撃を感じた。

 僕は壁に激突する。

 エリザさんの技らしきもので、吹き飛ばされたらしい。

 壁は壊れていないのだけれど、ボロに見える希望の家は意外に丈夫なようだ。


「生きているね。

 それが神の残滓による防御だ。

 これからも体を使って覚えな。」


 僕は衝撃を感じた場所を確認する。

 服に細かい穴が空いていた。

 服をめくり中を確認すると、皮膚の表面に細かい発疹のような赤みがあった。

 もしかしてこれ、防御に失敗していたら内臓がズタズタになっていたのでは?


「地獄の苦しみタイムがあると聞いていたんですが?」


 僕はエリザさんに尋ねる。


「アンタにはそんなもの無いよ。

 そもそも資質に差が有りすぎるんだ。」


 資質が有るんだろうか、無いんだろうか?

 僕は自分の状態を確認する。

 力を各所に込めると魔導力のように能力が向上した。


「普通は特定の場所に特化してしか使えないものなんだけどね。

 アンタは場所を選ばないようだ。」


 つまり資質ありの方なんだろうか?

 特化していない分だけ性能が落ちる可能性もあるしなあ。

 ジキルやパメラと模擬戦してみれば何か分かるんだろうか?


「僕は強くなったんですか?」


「まあ、前よりはマシだね。

 ちょっと外へ出な。」


 僕はエリザさんに続いて外に出た。

 エリザさんは僕と向かい合うと、突然僕の足に糸を引っかけた。

 そして僕は転倒する。


「え?」


 見えた、エリザさんの動作が見えた。

 僕は立ち上がり、神の残滓を纏う。

 再びエリザさんが僕を転倒させる。

 見えはしたけれど、回避は出来ない。


 見えただけでも僥倖(ぎょうこう)だろう。

 今まで何をしたのかさえ分からなかったのだから。


 僕は神の残滓を使いつつ、魔導力を発動させる。

 両立可能だった。

 そこへエリザさんが糸を放つ。

 僕はそれを全力へ回避に向かう。


 結果、前より酷い状態で転倒した。

 エリザさんの糸の回避は成功したのだ。

 しかし自分の力が制御できず、そのまま地面に頬ずりすることになった。


「まあ、そんなもんかね。

 アンタに教えることはもう無いよ。」


 いきなりの免許皆伝だった。

 これで頭に矢を食らって一発退場は無いと思う。









 着々と無双状態に近づいてきたかも知れない。


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