107 遺跡あるモニターにも似た設備
古代遺跡で使えるもののチェックを終え、必要な資材リストを作成し始めていた。
それをギスケに打診して、エリッタに受け取りに行ってもらう形だ。
そんな日々がしばらく続くかと思われた矢先事件は起こった。
古代遺跡に元々あった監視装置を使えるようにして、テストを兼ねて周囲を確認していたときだ。
突然、体長8メートルはあるかというドラゴンが飛んできた。
確実にこの遺跡を目指して来ている。
ギスケが乗っていた飛龍が3メートルぐらいなので、完全に格が違う。
昔読んだ本の知識から推察すると、炎竜と呼ばれる強力な炎を吐くドラゴンだ。
さて、迎撃しに行くべきべきなのだろうか?
隣にいたエリッタが監視装置を覗き込む。
「誰か乗ってるよ。」
エリッタが監視装置の炎竜を指さす。
確かに誰かいる。
さてどうしたものか。
敵か味方か、はたまたそのどちらでも無いのか。
判断が付かないので僕は様子を見ることにした。
「ドラゴン、すっごいねー。」
シーリがはしゃぐ。
最近僕はシーリの能力を使うことが多い。
そもそも僕のスキルだから、シーリの能力では無いような気がするのだけれど、スキルに人格があるとややこしい。
今ではとうとう賢者の杖とリンクしていなくても、姿が消えなくなっている。
なんとか姿を消す方法を見つけ出さないと、いずれ隠密行動時に支障をきたす。
ちなみに「お前を消す方法」で検索をかけたらイルカが出てきた。
役立たずだった。
炎竜は遺跡の入り口付近に着地した。
そこから知らない少女が降りてきた。
僕より少し年上ぐらいで、青いロングヘアーだ。
この世界でも天然で青い髪というのは見かけないので、染めているんだろうか?
ドラゴンはその場に伏せる。
そして少女は入り口前でゆっくりと踊り始めた。
「なんか踊ってるけど?」
エリッタが僕にどういうことなのか聞きたそうな顔を向けてくる。
僕だって分からんよ。
「シーリの同類か?」
僕がそう言うと、シーリが少女の踊りを真似し出す。
しかし踊りに見えたそれは、ただの踊りでは無かった。
少女の動きに合わせて、光の球体が浮かび上がる。
光の球体は素早く動き出した。
そして何度も同じ動きを繰り返す。
「あれってウィスプじゃない?」
エリッタが言う。
あれは光の精霊か。
「どうやら、僕に用があるってさ。」
僕は念のため賢者の杖を装備して外へ向かう。
「なんで分かったのさ?」
エリッタが聞いてくる。
「ウィスプのあの動きは、宙に文字を書いていたんだよ。
何度も繰り返している軌跡はオキスコンニチハだった。」
精霊の使い道はそれで良いのだろうか?。
ドラゴンと精霊使いの不思議ちゃんに心当たりがあった。
たぶん敵では無いだろう。
こうして僕は珍客を出迎えることになった。
ドラゴン無双をやってみたい。




