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幕末へ タイムスリップ  作者: 英 亜莉子
文久3年4月
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八木家の葬式

屯所として使っている八木さんの家で不幸があった。

 女の子が亡くなったらしい。

 いつもお世話になっているので、みんなでお葬式の手伝いをした。


 受付を見てみると、近藤さんと芹沢さんが座っていた。

 なんか、すごい人が受付している…。局長オーラがすごい。

 その局長ズ、たまに二人で突っ付き合っては笑いをこらえているような…。何しているのだろう?

「何しているのですか?」

 声をかけると、局長ズ、揃って顔を上げた。

「蒼良、これ見てみろ。」

 芹沢さんに言われて見てみると、落書きだった。

「さっき受付に来た奴をちょっと書いてみたのだがな。」

「芹沢さん、絵がうまいですね。でも、さっきの人はこんな鼻じゃぁなくて、もっと低くて潰れた感じでしたよ。」

「じゃぁ、蒼良、鼻だけ直してみろ」

 芹沢さんが筆を私に渡してきた。

「もっと、こういう感じで…。」

「ぷっははっ!蒼良、それじゃぁ猪みたいだ。」

 近藤さんが声を出して笑った。

「近藤さん、笑ってはダメですよ。お葬式の最中です。」

「いや、すまんすまん、つい面白くてな。ぷっはは。」

 笑うなと言われると、余計笑いたくなる気持ちはわかる。近藤さんもそういうタイプみたいで、たまにぷっははと、声をだして笑っていた。

「じゃぁ、これをこうすると…」

 再び芹沢さんが筆を入れる。

「せ、芹沢さん、何か怪しい生き物になってますよ。ぷぷぷ。」

「蒼良、笑うでない。葬式中だぞ。」

 そういう芹沢さんも笑っている。近藤さんに至っては、背中を向けてうずくまって笑いをこらえている。

 そんなことをしていると、げんこつが落ちてきた。

「イタッ。」

「蒼良、葬式中だぞ、何笑っている。」

 げんこつを落としたのは土方さんだった。

「す、すみません。つい落書きが面白くって。っていうか、なんで私だけげんこつなのですか?」

「ばかやろう。芹沢さんと近藤さんにげんこつが落とせるかっ!」

 落とせません。この中で一番落としやすかったのが私だった訳ですね。

「近藤さん、腹抱えて笑わない!葬式中です。」

「歳、す、すまん。わ、笑いが止まらん。」

「近藤さんは、笑いのツボに入っちゃったみたいです。」

「お前が笑いのツボにいれたんだろうがっ!」

「はい、すみません。」

 きっと、この中で一番怒りやすいのも私なわけで。

「土方君、そう怒るでない。わしが最初に落書きしたのがいけなかった。いや、つい暇でな。」

「芹沢さん、受付なんですから、頼みますよ。蒼良、行くぞ。」

 土方さんに行くぞと言われたので、受付を後にした。

 

 ちなみにこの落書き、後日八木さんの家のふすまが破れたときに、貼られていた。


 そして、いよいよお葬式も終盤になった。

 私も初めてのことだったのでよくわからなかったのだけど、出棺のときに槍を持って送るらしいのだけど、その槍をみんな左で持っていた。

「どう考えても、右だろう。なおしたほうがいい。」

 と、芹沢さんが言い始めた。

「でも、葬式だから、あえて逆にしているのかもしれない。」

 近藤さんが言った。

 確かに、着物のあわせも逆にするもんね。しかし、芹沢さんは納得できないらしく、

「右に持ち直すべきだ。」

 と騒ぎ始めた。

 大丈夫なのか?大事にならないか?と心配したけど、そこは八木さん。知らんぷりして行ってしまった。

 色々とあったけどお葬式は無事に終わった。

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